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あの人に逢いたい 〜早稲田スポーツOB・OG訪問〜 

漕艇部OB 株式会社電通 松本隆光さん

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 松本が現在のクライアントについて10年。彼は自分が常に携わっている「スポーツ」について、体系的な勉強がしたいと思っていた。丁度その頃、早稲田がスポーツ科学部を設立した。松本は平成19年にスポ科大学院を受験し、11年ぶりに母校の机に座る。現在、元巨人軍の桑田真澄を指導する、平田竹男ゼミで、二期生としてスポーツマネジメントを1年間学ぶ。元Jリーガーや、出版社副社長など、 「多種生成」なゼミ生から刺激を受けながら、広告におけるスポーツコンテンツ価値向上に関する修士論文を書き上げる。

 現代のスポーツにとって、スポンサーとの関係は大変重要な問題となる。特に日本のスポーツ界を主に構成するのは、大手企業によるスポンサードチームだ。多くのチームは単体の企業から援助を受けているため、昨今のような不況下では、コストとして切り離されてしまい廃部、という結果に陥る可能性がある。それに対して、ヨーロッパのスポーツチームは、地域のファンによるサポータークラブ会員費や入場料、そして地元の複数企業による提携などで、地域密着型のクラブチームとしての運営システムが成立している。企業が提供する目的も、日本のように企業のイメージアップだけではなく、「ただそのスポーツが好きだから」。松本は、もっとそのような企業が日本に増えてもいいんじゃないかと考える。「本来そうあるべき。スポンサーは、自分の企業のためだけにお金を出すのはやめたほうがいい。その競技の下支えのために出す、っていうのでいいんじゃないのか。好感度アップだけじゃなくてね」。


 

               スポーツ界の在り方を、  元選手ならではの視点で考える。

 企業、スポーツ、生活者のそれぞれがWIN-WIN-WINの関係になるという、スポーツ界のあり方を模索したい。広告代理店の営業マンであり、ボートという競技を通して自らの人生を変えた男はそう考える。行動を起こす準備も進んでいる。  未だスポーツが文化として根付いていない日本の社会という舞台において、広告代理店の立場で、利益とスポーツの発展の両立を目指すのは、非常に難しいことなのかもしれない。しかし、日本のスポーツ界を変える松本の挑戦は終わらない。すべては心次第なのだから。

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関連URL
漕艇部公式WEBサイト

(TEXT=田辺里奈、PHOTO=池田恩)
 


 
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