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みなさんは、『十種競技』という種目をご存じだろうか?その名の通り、選手一人がトラック、フィールドの計10種目を二日間をかけて行い、各種目の記録を得点に換算しその合計点を競う陸上競技の中でも最も過酷な種目である。その十種競技で、昨年一年生ながら全日本インカレで7位に入賞するなど一際輝きを放ったのが土井翔太(スポ2)選手だ。高校までは棒高跳を専門にしながら、大学から本格的に混成競技に参戦し、日々成長を続ける土井選手に、大学一年目の感想や二年目への決意、そして混成競技への熱い思いを語って頂いた。





 
土井翔太選手プロフィール
スポーツ科学部2年
香川・観音寺第一高等学校出身
自己ベスト 十種競技 7175点
棒高跳 5m22
10年関東インカレ 棒高跳3位
09年全日本インカレ 十種競技7位
棒高跳6位

――まず始めに、関東インカレを振り返ってみての感想は?
 関東インカレはチームとして目指すところだったんですが、専門の十種競技で得点できなかったですし、棒高跳では一応チームに貢献は出来たんですけど自分の記録に届かなかったので、納得のいくものではなかったですね。

――ここからは大学一年時を振り返って頂きます。大学1年目を振り返ってみて感じることは?
 何か「がむしゃら」にやってた気がします。とにかく、(大学に)入って周りのことが全然わからなかったですし、やっぱり一年生ですから部に大きな貢献もできない気がしましたし、周りでは江里口(匡史、スポ4)さんは世界に行ったり、長距離の皆さんは駅伝でメディアに注目されていたので、自分も一年生なりに何か起爆剤になれればなというか、どれだけフィールドで存在感を出せるかをずっと追い求めてました。

――昨年土井選手が加入したことで、早稲田の混成ブロックが一気に盛り上がった印象がありましたが。
 混成ブロックは去年3人だったんです。他の大学からしたらとても少ないんですけど、一番上で今年卒業された堀(航大、スポ卒)さんの存在が、僕と有間(佳一郎、人4)さんにはすごく大きかったんです。堀さんには本当に励まされましたし持ち上げられたというか、手取り足取りじゃないですけど色々教えてもらって、有間さんと結果的に切磋琢磨できたので良かったです。

――先輩方の存在が、昨年記録を大きく伸ばせた要因でもあるんですね。
 練習においても存在は大きかったです。混成競技って実際の試合では結構みんな声出してやるんですけど、「それをこのグラウンドでもやろうぜ」って堀さんがおっしゃって、とにかく三人で盛り上がって試合さながらの練習をやってました。去年との違いで今一番大きいのは、堀さんが抜けたことです。頼り切っていたわけではないんですけど、やっぱり自分達の支えでしたし、大きな存在でした。

――大学一年目を終えて感じた手ごたえは?
 やっぱり自己ベストが出た時もミスが多かったですし、最低限のラインでは目標の得点ではまとめたんですけど、やっぱりまだまだいけるなって。何か「もっともっと」って感じでした。

――冬季練習を通して取り組んだことは?
 大学一年生の時は、シーズン中はメニュー以外の各自の練習では、高校生から続けてきた棒高跳を中心の練習にしていたんです。そして、この冬をどうするかってなった時、やっぱり一番弱い『走り』の部分を課題として、本当走ることに集中してやってきました。 練習はケガなくやり通せたんで、この春走ってみて力は絶対ついてるんですよ。走りに関しては今体も良く動くんですけど、ただちょっとずつ(技術的な部分で)ズレているので、これがどこで力を入れたらいいのかってわかった時がすごい楽しみです。今はただもどかしいですね。


 

十種競技において一番辛いのは、
二日目の朝起きた時だそうだ。    

――高校と大学の違いで感じることは?
 高校生って何か守られているんですよね、先生にも、親にも。ここは自分でどうにか道を切り拓いていかなければいけないですし、一人ひとりがより真剣に競技に取り組んでいるじゃないですか。こんな良い環境もありますし、やっぱり背負うものは大きいですよね。これだけの寮もグラウンドもあって先生もいる良い環境を与えてもらって、世間に対してもそうですし、サポートして下さるOBの方々とかに対しても、競技でしか僕らは恩返しできないじゃないですか。競技でないと(感謝の気持を)見せられないですから、そこに違いは感じます。

――改めて、早稲田を選んだ理由は?
 やっぱり憧れは元々ありました。僕はずっと小、中学校の途中まで6年間野球をしていたんですけど、早稲田ってやっぱり何か一つ頭の中にあって、大学を選ぶにあたって一回ここに練習しにも来たんです。もちろん他の大学も練習も競技も真剣に取り組んでいると思うんですけど、その中でも生活環境とかしっかりした人間関係っていうのが一番だったのが早稲田でした。

――早稲田は練習などでも自主性を重んじる空気がありますが。
 高校の時も僕らの高校は、放任されていたといえば放任されていたんです。棒高跳は10人位いて女子を合わせると20人位で、先生がメニューを任せてくれたんで、自分達が考えて、あとは先生に質問する感じでした。なので、その点に関しては移行しやすかったです。
 あと、自分は走りが苦手で、やっぱり走る練習ってしんどいじゃないですか。でも、ここはみんなで各ブロック固まって走るし、走りのスペシャリストの礒(繁雄)監督も居て、だから走りの部分で苦労することはないだろうと。それもそういえば選んだ理由の一つですね。
しんどいメニューをみんなでやることも練習の一部に組み込まれていて、走りが必然となってくるというか、日常の中でまず走ってそれから自分の専門的な練習に入っていける点は早稲田の魅力ですね。

――この一年間で自分が一番変わったと思う点は?
 自分以外では周りを見れるようになったと思います。競技の面に関しては、すごい厳しい冬季練習を完遂出来ましたし、ただこの春調子は良くないんですけど、でもそのおかげで「頑張ることだけが結果に繋がるわけじゃない。がむしゃらの中にも何が大切なのかっていうポイントを見て、練習に関しても競技に関しても見極めなきゃいけない」と考えるようになりました。


 

先日の関東インカレの表彰式での様子。
次は早稲田勢3人での表彰台独占が目標だそう。    

――大学生活はいかがでしたか?
 とにかく時間がありますよね、大学生って。ビックリしました。練習時間も朝練を終えても、まだ時間あるわみたいな(笑)。

――授業などはいかがですか?
 面白いですよ。教職をとっているんですけど、他にもオープン科目で商学部とか色々とってみたいなと。気が多いんで(笑)。全般的に色々話を聞けるんで面白いですし、興味があったことは終わってから聞きに行ったりもします。単位も順調です!

――スポーツ科学部だと他の競技の選手も多くいると思いますが、刺激を受ける部分は?
 ありますね。十種競技なので、陸上の練習だけが競技に繋がるとは思ってないんです。テニスしたりラグビーしたり、この前も水泳の後に、水泳部の子とラグビー部の子と色々話して、今度一緒にラグビーしようって約束もしましたし、とりあえず何でもやってみようとは心掛けてます。それと、競走部の友達と他の部の友達っていうのはまた全然違うじゃないですか。なので、友人関係は特に大切にしてますね。

――現在は寮での生活ですが、集団生活は好きですか?
 最初来たときはホームシックになると思ったんですけど、全然で(笑)。自分の中で、野球の時の経験が大きかったですね。チームプレーが今でも好きですし、陸上もできるだけチームでしたいと思っているので、そう考えるとやっぱり棒高跳や十種競技って魅力的な競技ですよね。競技時間が長いんで、学校関係なくみんなが仲良くなって助け合って声を掛け合ってやるんで。大きな話ですけど、そういう風に陸上全体がなって、みんなで盛り上がっていけたらいいなって思いますね。堀さんの教えです(笑)。  

――休日の過ごし方や趣味は?
 これといったものはないんですけど。結構安藤(大地、政経2)とか寮の子と好きなものを作って食べたりとか。作るのも食べるのも好きなんで『料理』ですかね。結構色々作りますよ。みんなでワイワイするような鍋とかすき焼きもするんですけど、たまにタルトを作ってみたりとか(笑)。マネージャーの間野(直子、法4)さんに教えてもらいました。あと、福本さん(寮の栄養士)と作ったり、指導を仰ぐことも多いです。栄養の面とか自分も興味があるんで色々聞きますね。

――特に仲の良い選手は、やはり高校が同じの安藤選手ですか?
 そうですね、高校からずっとですからね。高校の時は同級生で棒高跳が4人いて、その4人で三年間ずっと考えて練習してきて、その一人が今も一緒にいるってことは心強いですし、居なかったらって考えられないです。だから、将来に向けて早く『安藤離れ』しないといけないです(笑)。

 

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(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
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