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「二度目の春〜jump!〜」 

競走部 土井翔太選手インタビュー

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十種競技のスケジュール例(先日の関東インカレの場合)
第1日目         第2日目
9:15   100m     9:15   110mH
10:30  走幅跳    10:15  円盤投
12:30  砲丸投    13:00  棒高跳
14:50  走高跳    15:30  やり投
17:55  400m     18:25  1500m

――ここからは混成競技についてお話を伺います。混成競技に本格的に取り組むようになったきっかけ、理由は?
 可能性ですね。やっぱり競技をやるからには「世界」って大事じゃないですか。混成なら世界で戦えるって自分で思ったんでそれが理由です。

――高校では棒高跳を専門にしていましたが、転向を決意したのは?
 以前から混成で早稲田に来ないかっていう話も伺っていたんですけど、やっぱり自分は棒高跳が好きだったんで、棒高から逃げる感じもしたんですよ。6年間やってきて、やっぱり好きだしなとも思って。それで、高3の10月の大会で十種に出た時に100mが11秒2だったんですよ。今まで11秒5くらいだったし、その時は走幅跳も7m跳べて、やっぱり走るのが遅いんじゃなくて走り方が悪いんじゃないかって思うようになって、自分の体をどうやってコントロールするかとか、全てがやり方次第なんじゃないかって思ったんです。その試合を境に混成で上を狙おうかと、本気で取り組もうと思いました。

――棒高跳への思いやこだわりは?
 今でもあります。去年の試合でも棒高跳がベストぐらいの記録が出た時に、初めて十種でも7000点を取ったんです。走り方にしても自分の調子や調整方法にしても、今も棒高跳の時と同じようにやっているんです。今は十種を専門にやっているんですけど、棒高跳は自分の核になる部分なのかなと思っています。

――早稲田には棒高跳を専門にする選手がほかにもいますが、二人の存在は?
 三人いて、しかも僕ら二人より圧倒的に強い先輩がいて心強いですし、有間さんもですけど、笹瀬(弘樹、スポ3)さんが後輩思いなんですよ。棒高跳をやる時は三人でやってますいつも。核になる部分に頼れる先輩がいるのが大事なことですし。お互いに技術チェックもそうですし、切磋琢磨してやれるのは大きいです。

――十種目ありますが、練習の割合などは?
 『走り中心』ですね。走れれば何でも出来ますから。投げるにしても、跳ぶにしても、100mが速い者勝ちですよ本当に。あとは『身体操作』ですかね。自分のイメージ通りに体を動かせれば、十種目一つ一つの練習をしなくても、イメージして良い動きを見てできれば時間短縮になりますし。だからこそ球技とか、体操競技は特にやるんですけど、そういうのが大事かなと。あえて違う練習をすることもあります。

――混成ブロックにはライバルでもある有間選手がいますが、有間選手の存在は?
 大きいですね。自分の苦手な種目が強いので、お互いにチェックしあうこともあるんですけど、まず有間さんを倒さないと世界どころじゃないんで。世界選手権とかの標準記録が大体8000点で、日本記録が7995点なんですけど、混成競技って本当に一種目をちょっとずつ伸ばすだけで、有間さんも僕も7800点位いくんですよ。だからこそ面白いんですけどね。微々たる進歩の積み重ねでポーンと上がるんで、楽しいです。

――好きな種目と苦手な種目は?
 嫌いな種目はなくなりましたね。というか嫌いと思わないようになりました。ただ、緊張する種目は、400mです。1500mの方がもう終わりなんで、まだ緊張しません。あと、最初の種目の100mも緊張します。ここが行けるかどうかで気分が変わりますし、その後切り替えなきゃいけないのは分かってるんですけど、引きずってしまったときはあまり結果も良くないですね。

試合では、派手なガッツポーズや気合い溢れる表情が印象的。

――十種競技では、メンタル面も重要な要素になると思いますが、心掛けていることは?
 メリハリですかね。集中力はすごい大事なんですけど、メリハリはすごい大事ですね。30分の間だけでもちょっとリラックスしたりとか、気をずっと張りつめさせないようにしてます。楽しくやらないと出来ないです十種は。ずっと集中してると、崩れてしまいます。崩れだしたら止まらないですし、楽しくワイワイやりながら本当に締めるところは締めてやる感じですね。

――混成競技の魅力とは?
 何かとりつかれるものがありますよね。何か分からないですけど、陸上を制したような気分というか、とにかく「達成感」がありますね。あと、陸上とは思えぬような他の学校の人を含めてのチームプレー、友情とか全て色々な感情を含めて得られるような感覚が気持ち良いですよね。

――2年生になり後輩が入ってきたことで心境の変化は?
 まだ何か自分が一番下な気がして、一番下におまけの高校生が付いてきたって感じがしてますね(笑)。でも自覚というか、しっかりしないといけないなと思ってます。あと、後輩には負けられないです。

――大学2年目の目標は?
 より高いところを目指してます。今年は『日本一』っていう目標を掲げたんで、どの大会かで日本一を取りたいと思います。

――2010年はどんなシーズンにしたい?
 2010年は、春先を見ても少しまだ出だしが遅れてるというか、今は我慢の時期だと思ってます。気持ちが焦っても仕方ないんで、とにかく前にいる混成のトップ選手達を追走できるように、慌てず、かつ自分のノリに乗っているような試合を一回でもできたら、自分らしさを見せれると思うので、自分の色を出していきたいです。

十種競技の勝者は、よく『キング・オブ・アスリート』と称えられる。

――競技を続けていくにあたってどのような選手になっていきたいですか?
 やっぱり江里口さんとか長距離の矢澤(曜、教3)さんとかもそうですけど、自分が競技をして注目してもらって、社会に影響を与えられるような選手になりたいですね。混成競技や十種競技が浸透して「じゃあ、(競技を代表する選手は)誰」ってなった時に、自分の名前が挙がるような。近年、フィギュアスケートとかめちゃくちゃ人気になってきたじゃないですか。浅田真央選手とか同世代なんで、憧れますよね。

――やはり、世界への意識は常にありますか?
 それがないと面白くないです。世界選手権やオリンピックに出たいとは思いますし、7800点とか8000点には近づけると思うんですけど、まだ見えないです。自分がどこまでいけるか、楽しみではあるんですけどね。自分自身に期待する部分があるから十種を選んだわけですし。

――では、読者の方に混成競技のアピールをお願いします。
 一度、混成競技というものを見てほしいです。見たら混成の良さは絶対に分かるはずです、絶対に。最初から最後までとは言わないですけど、二日目ぐらいは見てもらったら、こんな競技なんだと分かってもらえると思います。本当に良い競技なんですよ。

――最後に、土井選手自身のアピールもお願いします。
 僕の『元気』や『楽しそうに競技する姿』を見てください。陸上の楽しさとチームプレーでみんなと陸上をやってるんだっていう感じを見てほしいです。陸上は個人競技であって個人競技ではないってみんな言うんですけど、その意味が僕の競技から分かってもらえたらいいなと思います。

 時折、地元・香川の方言を交えながら、競技への思いを熱く語ってくれた土井選手。そんな彼が「チームプレー」だと表現する十種競技は、陸上の『走る、跳ぶ、投げる』の全ての要素を味わえる魅力的な競技である。本人の言葉通り、とにかく一度競技場に足を運び、選手達の奮闘ぶりを見てほしい。特に最終種目1500mのゴール後の姿は感動的だ。その姿を見れば、彼が語る「混成競技の良さ」を感じられるだろう。 そしていつか混成競技が世間に広まって人気競技となり、その頂点に『キング・オブ・アスリート土井翔太』が君臨する日を楽しみにしたい。

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関連URL
早大競走部ホームページ

 

(TEXT、PHOTO=岡崎聡)
 


 
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