WasedaWillWin.com
 


  

 特集の第2回目に登場するのは、ア式蹴球部のゴールキーパーである菅野一弘(商4)選手。安定感のあるプレーが持ち味の菅野選手は昨年度から正GK(ゴールキーパー)の座を掴み、今や不動の守護神としての地位を確立。今季もこれまで公式戦全試合でワセダのゴールマウスを守り続けている。ア式が誇る絶対的守護神である菅野選手に、自身のサッカー人生を振り返ってもらいながらゴールキーパーというポジションへの熱い思いを語ってもらった。





 
菅野一弘選手プロフィール
早稲田大学商学部4年
東京・早稲田実業出身

――まず始めに、今季のチームのこれまでの戦いを振り返って頂けますか。(取材を行ったのは9月6日)
 開幕当初から『日本一』を目指してやってきた中で、リーグ戦でも前期は9位という結果に終わってしまって総理大臣杯も本戦に出場できなくて、早慶戦でも勝つことが出来なかったので、結果だけみたらやっぱり非常に不本意な結果だと思っていますし、何とか後期で巻き返さなきゃいけないなとは強く思っています。

――今年から古賀聡新監督が就任しましたが、古賀体制でのチームの雰囲気はいかがですか?
 古賀監督の特徴というかスタンスは、もちろん最低限の戦術とかは与えてもらうんですけど、本当に4年生中心となった組織作りからやっていこうということで、そういった点は僕らが1〜3年生でやってきたア式とはちょっと違うところだったので、今はより自分達に成長が求められる環境作りを監督がしてくれていると思います。サッカーで日本一になるっていうのはもちろんなんですけど、人間としても日本一の集団であろうというのが古賀さんのモットーというか考えで、サッカーだけじゃなくてア式っていう組織そのものが人間としての成長の場だと考えてくれているので、そういう意味ではやりがいがありますね。

――菅野選手自身は、8月末にJリーグのチームの練習に参加したそうですが、いかがでしたか?
 非常に大きな刺激にはなりました。自分は4日間行ったんですけど、(行ったチームは専用の練習場を持っていなくて)4日間とも練習場がバラバラでした。でも、その中で選手は一生懸命真摯にやっているし、プロの方って大変なんだなと思いましたね。先輩のキーパーの方にもすごい良くしてもらいました。自分自身としては、まだまだ一つの「大きく弾くプレー」とか、「絶対(ボールを)こぼしちゃいけないところでちょっとこぼしちゃったり」とか、そういう小さなところで差を感じる部分はあったんですけど、大きな差を感じたとかはあまりなくて、正直結構やれたと思ったんで、そういう意味では自分がずっと積み重ねてきたキーパー人生もあながち間違いじゃなかったなと思えた点では、すごく自信になりました。

――ここからはご自身のサッカー人生を振り返って頂きながらお話を伺います。
サッカーを始めたのはいつ頃でしたか?

 幼稚園ですね。Jリーグがちょうど始まった頃で、最初は三浦知良選手(現在は横浜FCに所属)がいたじゃないですか。三浦選手が『カズ』って呼ばれてて、僕も名前が一弘なのでカズって呼ばれてて、一緒じゃん見たいな(笑)。カッコいいなと思って(サッカーを)始めて、本格的にチームに入って始めたのは小3です。

――最初からGKだったんですか?
 最初はカズに憧れてやってたんでFWだったんですけど、ちゃんとしたチームに入った頃にちょうど(アトランタ)オリンピックがあって。その時に川口(能活、ジュビロ磐田)選手が活躍していて、すごいカッコいいなと思ってキーパーを始めました。

――他のポジションをやりたいと思ったことは?
 ありますね、小学生の時とかはやっぱり。FWとかってミスをしても一発のゴールでチャラみたいなところがあるじゃないですか。なのに、キーパーって幾らそれまで良くても一つのミスをしただけでダメなので、割に合わないなと(笑)。FWをやりたいなと思ったことはありますけど、結局はずっとキーパーですね。


 

試合では好セーブを連発。
ファン、チームメイトからの信頼も厚い。

――ご自身の性格は、キーパーに向いていると思いますか?
 自分で言うのも何なんですけど、責任感は強い方だと思うので、そういう面では向いているかなと思いますし、あとは結構ギリギリのボールとかでも集中してたら突っ込んでいけるんで、そういう意味でも向いているかと。まあ、キーパーじゃなかったら絶対ここまで来れなかったと思うし、キーパーを選んだことに後悔はないです。

――GKというポジションの難しさを感じる部分や瞬間は?
 常に難しいですね。もう、「キーパーの理論に終わりはないんじゃないか」っていうぐらい。ただ止めればいいっていう、そういうポジションじゃないし、チームや味方を動かしていかにシュートを打たせないようにするかっていうのも非常な重要な仕事だし、みんなの士気を高めるっていうのも重要な仕事だし、それでいて自分は絶対にミスをしてはいけないポジションなので、本当に奥が深いポジションだと思います。

――緊張やプレッシャーのかかる場面も多いと思いますが、メンタル面のコントロールでやっていることは?
 ミスが許されないのはもちろんなんですけど、「自分がミスしちゃったらどうしよう」って考えていても絶対にポジティブにはなれないんで、自分がいいプレーをしたときのことをイメージしたりはしてますね。まあでも、試合に入ったらワンプレーワンプレーに集中するだけなんで、そんなに緊張とかはしないです。

――GKは一つや一瞬のプレーで評価が変わることもあると思いますが、そういった点の難しさを感じることは?
 非常にそれは難しいですけど、その一瞬のためにキーパーって一番長くトレーニングしていると思うんですよ。終わってからも結構居残り練習とかもしてますし、いかにその絶対的ピンチを止めるっていうのもそうなんですけど、ピンチをポジショニング一つとかで、その絶対的ピンチをピンチに見せないっていうか、もしポジションがちょっと間違えていたらスーパーセーブに見えるかもしれないけど、ポジションがしっかり入っていたら正面でとれるから他の人は分からなかったとか、そういうプレーを増やしていければいいですね。一瞬を防ぐためにやってるのもあるんですけど、一試合だけじゃダメだし、いかに全体を通して安定していけるかっていうのも大事だと思うんで。確かに一回ミスしただけで評価は変わってしまうんで、そこは常に集中しなければいけないんで大変ですけど。

――試合中にGKが目立つということは、(チームとして)よくない試合内容ともいえると思いますが。
 そうですね。僕は結構目立ちたがり屋なんで、やっぱり自分が止めたりして、試合に出ている選手や監督とかに「ナイスキーパー」って言ってもらえたら自分のテンションも上がってっていうのもありますけど、まあでも本当は(シュートを)打たせないのが一番だと思うので、そこはまだ追求している最中です。

――GKとして試合中に心掛けていることは?
 とりあえずは、守備のオーガナイズであったり、自分自身のポジションであったり一つ一つのプレーに対して常に集中するのはもちろんなんですけど、あとは、「最後の最後ではどんなに身を粉にしても自分が止める」っていう強い気持ちですね。そこはすごい強く意識しています。

 

1/2

 

(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
WasedaWillWin.com HOMEへもどる