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  ラグビー蹴球部主将東条雄介選手・野球部主将宮本賢選手インタビュー

 試合終了―。東京六大学野球春季リーグ戦最終週の早慶2回戦、1点を追う9回裏2死3塁の場面、打席に立った主将・土生翔平が三振に倒れ、戦いは幕を閉じた。
優勝の可能性こそなくなっていたものの、意地をかけて戦った伝統の一戦。しかし、その舞台でも涙をのみ、神宮をあとにした早稲田大学野球部。
今回は、特別対談として早稲田大学野球部土生翔平主将と濱潤哉学生コーチに早慶2回戦試合終了直後に抱いた思いから秋季リーグ戦へ向けて進み始めた自身のこと、チームのこと、そしてお互いのことについて語って頂きました。


学生主体のチーム

バレー中心の学生生活



 

土生翔平主将プロフィール
スポーツ科学部4年
広島・広陵高校出身

――まず、早慶戦について振り返って頂きたいのですが、早慶2回戦試合終了の瞬間、最初に心にこみあげてきた思いは
土生翔平主将(以下土生): 自分は、打席で見逃して、(慶應の)優勝決まった瞬間にまず、なんで手ださなかったんだろうっていうのがやっぱ一番最初に頭の中でいっぱいで、慶應が優勝してるシーンよりその思いの方が強かったんで、相手の胴上げとかマウンドで集まっている姿、今あんま思いだせないっていうか、とりあえずその気持ちでぼーっとしてたって感じでした。
濱潤哉学生コーチ(以下濱):
その時には優勝っていうのはなくなってましたし、なんとか早慶戦で早稲田の意地っていうかひと泡ふかせてやろうって気持ちで、もう目の前の試合をがむしゃらに戦うことしか自分たちにはないと思って戦ったんですけど、やっぱり改めて負けた瞬間に、チームを勝たせてあげれなかったなっていう、4年生にも結果をださせてあげれなかったなって気持ちが自分は一番強くて。それは、下の3、2、1年生にもこういうリーグ戦を経験させてしまって申し訳ないなって気持ちがやっぱり一番強かったです。

――試合後に、慶應のみなさんとお話されることはありましたか


 

濱潤哉学生コーチプロフィール
商学部4年
鳥取・境高校出身

土生: いや、してないですね。
濱:
口ききたくなかったですね。きけなかったです、あの時は。

――試合が終了した後、チーム全体の雰囲気はいかがでしたか
土生: それはやっぱり、重い雰囲気っていうのがありました。やっぱ、みんな悔しい気持ちで、自分もなかなか切り替えれなかったっていうか、もう終わった時点で秋のシーズンが始まってるわけなんで、そういう風に切り替えてやるしかないんですけど、なかなか切り替えられてない部分がありました。
濱:
まあ、どうやってやったらいいんだろうっていうのがあったよね。
土生: そうなんだよ、確かに。法政戦ぐらいから、朝も昼も夜もずっと振って、振り続けて、それで、試合でちょっと変わるところが見えるかなっていったら、決して思うように結果出なかったんで、どういう風にすれば結果でたんだろうっていうか、どこまで振ればいいんだろうっていうのが見えなかったっていうのがありまして、やっぱみんな感じてたと思います。どんだけやればいいんだろうって。

――みんなで声を掛け合うことはなかったですか
土生: 基本ここ(寮)に着くまではあんまりしゃべんない・・
濱:
しゃべんなかったね。
土生: しゃべんなかったですね、みんなほんとに。静かっていうか、もうしーんとして。けど、自分は部屋戻って、あの見逃したシーンがずっと頭の中に残ってて、その事ばっかずっと考えてた時に、4年生の選手が部屋に入ってきて「もう切り替えろや!もう終わった事なんやし、しゃあないって。お前があそこでたとえ打ったとしても、次、どうせ打たれて負けとるよ。」みたいなそいつなりの励ましをしてくれて。それでちょっとずつ元気がでてきて、切り替えていけるようになりました。

――濱コーチはいかがでしたか
濱:
そうですね、やっぱリーグ戦っていうのは各大学の4年生のがんばりが反映されると思いますし、なんとか4年生をたてなおさなきゃいけないなっていう気持ちで、ずっとリーグ戦中に考えてたんですけど、それを改めて早慶戦で負けて、悔しさもあったんですけど、次、自分がやらなきゃいけないことが山積みだったんで、悔しさを感じていながらやっぱりなんかしなきゃな、なんかしなきゃなっていうことばっかり考えてました。

――ミーティングはされなかったんですか
土生: その日はここ帰ってきて、監督の話と部長の話と自分がひとことふたことぐらいチームに言って終わりまして、後日、休みが何日間かあったんで、4年生だけで集まって、秋に向けてどうしたほうがいいか、やっぱりここ変えた方がいいんじゃないかとかっていうミーティングをして、いまそういう風に取り組んでやろうっていってます。

――監督に言われたのはどんなこと?
濱:
まあ、力不足・・
土生: そう、まあそういうことですね。もう練習するしかないみたいな感じです。リーグ戦から「負けたら力不足だ、練習もっとやるしかない」みたいなことをずっと言われてたんで、その時もその言葉を言われました。

――土生主将は何を言われたんですか
土生: 自分はとりあえず最初に「頼りないキャプテンでごめん」っていうふうに謝って、やっぱ自分もまだまだ甘いっていう事と、あとは他の選手も悔しい思いをしたっていうか、みんな満足する結果じゃないと思うんで、1人1人秋に向けて課題つぶして、全員でひとつになって、秋がんばろうって言いました。

――濱コーチはその時コメントされなかったと思いますが、その時何か伝えるとしたら、コーチとして何を伝えたかったですか
濱:
納会の後しゃべったんですが、4年生を代表して、下級生に4年生の頼りない姿を見せてしまって、それがやっぱり結果にも大きく影響したんで、そのことについて謝ったのと、秋あるんで、4年生ももっともっと頑張ろうと思うからしっかり自分たちについてきてくれっていう風に言いました。

――早慶2回戦の夜は、ぐっすり寝られましたか
土生: 自分は、夕方から夜にかけて何かしてても、例えばご飯食べてても、半分は試合のことが離れないっていうのがずっとあったんですけど、オフだったんで、みんなで切り替えようってことで遊びに行って、そういう中でもう切り替えるしかないって楽しんで、それで、帰ってきたらその疲れで、ばたんでしたね。
濱:
自分はとりあえず春のDVDを全部みようと思って部屋にこもって、明治戦から勝ち点おとしたゲームをずっと見てました。

――濱コーチは翌日から新人戦もあり、新人監督としてまた戦いに行かなければいけない状況だったと思いますが、気持ちの切り替え方は
濱:
そうですね、朝早かったんですけど、やっぱ新人戦に気持ち切り替えて行くのは難しかったですね。ただ、やっぱベンチに入ってからは、こいつらも頑張ってきたんで、もう俺しっかりやんなきゃなって思って、切り替えてやりました。

――1、2年生も悔しさを共有してたと思いますが、1、2年生の選手がどんな思いを持ってプレーされているという風に感じましたか
濱:
そうですね、やっぱり新人戦は神宮に立つっていう機会が初めての選手が多かったんで、頭の中は新人戦でいっぱいで、自分たちがやってきたことをしっかり出そうとその一心だったと思います。

――土生主将は、新人戦を気にかけられていましたか
土生: そうですね、見に行ってはないですけど・・速報のサイトでは見てました(笑)
濱:
サイトでは(笑)

――それを見ながらどんなことを思われていましたか
土生: いや、もう東大に楽勝で勝ってくれたんでやるな〜と思いました。やっぱり勝ってほしいですし、優勝してほしかったっていう気持ちはほんとに強かったですし、神宮行きたかったんですけど、まあ神宮に見に行く・・もうなんか自分の中で心が弱って、神宮に行きたくないっていうのが自分の中にあって、神宮見たくねえやっていう。そんぐらいナーバスっていうか。
濱:
神宮行きたくねえ、見たくねえみたいなこと言ってたもんな(笑)
土生: もうほんと心が人生でこんだけやられるかっていうぐらい折れたっていうか。そうだったんで、ほんと見に行けたら行きたいなと思ってたんですけど、なかなか行く気になれなかったですね。
濱:
まあ、そのぐらいやっぱり土生は自分のことでも結果出していかなければいけないと思ってますし、もちろん立場としてチームもまとめていかなければいけなくて、すごい一番負担がかかったのが土生だと思ったので、そこの部分を自分がもっと負担を軽くできたんじゃないかなっていう気持ちもすごいあります。

 

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(TEXT=平尾実夏、PHOTO=磯綾乃)

 


 
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