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  九鬼巧選手インタビュー、第2回のテーマは「早稲田での1年目」です。
高校時代にはインターハイ2連覇の実績を持つ九鬼選手。スーパールーキーとして入学した大学1年目に九鬼選手が感じたこととは。





 
九鬼巧選手プロフィール
  スポーツ科学部2年
  和歌山県・和歌山北高校出身
  自己記録  100m:10秒23
        200m:21秒21

――大学1年目を迎えるに当たり、どのような目標を立てていましたか?
 はじめはユニバーシアードに出ることを目標に置いていたわけなんですけど、今、振り返ってみて思うことは、自分の置かれている現状と、行きたいっていう部分がかけ離れてすぎていたなっていう部分で。
あの時の自分はまだインカレの決勝に残れるレベルでしかなかったのに、気持ちだけは世界に向けて走っていて、気持ちと身体がかけ離れている部分が大きかったのではないかなと思います。 

――高校までとの差を感じた?
 そうですね。大学陸上をなめていたのは今思うとありましたね。入学する前の2月の室内陸上で山縣(=山縣亮太・慶大2年)と接戦で負けちゃったんですけど、良い勝負ができていましたし、冬季も順調に積めている認識が自分の中ではあって、当時は今の(高校の)レベルでやっていけるだろうって思っていた部分がありました。

――当初から九鬼選手、山縣選手ともに周囲の注目が大きかったですよね。その期待に応えようとして現状と気持ちがかけはなれてしまった部分はありましたか?
 そうですね、本当に期待される部分は大きかったんですけど、その頃はまだ現実をちゃんと言ってくれる先生もいなかったですし、周りの先輩でそこまで話す方も当時はいらっしゃらなかったですし、そういうのに気付かず浮かれていた部分はあります。

――その年は高校時代から競っていた山縣選手や飯塚選手などがユニバーシアードに行かれました。焦りはありませんでしたか?
 もちろんありました。飯塚くん(=飯塚翔太・中大3年)は本当にすごいなと思っていましたけど、山縣が入学してすぐにグランプリシリーズで上位に行って、記録も出した時に、頑張っているのに自分は記録が出ないって離れていく部分がすごく大きくて。去年のシーズンは本当にずっと山縣中心に自分が回っていました。山縣中心に自分がどうやろうかっていうのばっかりを考えていた気がします。

――その考え方は今振り返ってみていかがですか?
 もう絶対良くないことですね。外的要因・内的要因って呼ぶんですけど、「人のことを考えつつ自分が」っていう考えは絶対良くないと思いますし、自分ができて周りがついてくるっていう考え方ができなかったのが弱かった部分だったと思います。


 

九鬼にとって大学1年目は苦しいシーズンとなった。
写真は昨年の日本インカレの様子。

――では現在はそのような考え方から脱却できたと考えますか?
 そうですね、高校の時に思っていたのは、相手に勝った先に自分の記録がついてくると思っていて。例えばインターハイで優勝したり、大きい大会で人の前に出て勝ったらそこにタイムが出ると思ったんですけど、今は勝ち負け云々の前に自分のレースがきちんとできればタイムも順位もついてくるんだなっていうのは確認できましたね。それが確認できたのが日本選手権の時だったんですけど、そこが昔とは考えが変わったところだと思います。


<第3回へ続く> 九鬼巧インタビュー第3回 〜飛躍の2年目〜 

(TEXT、PHOTO=矢野真由実)

 

 


 
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