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――スケートはここまで楽しめていますか?
確かに12月に全日本選手権終わってからはユニバでシーズンを終わりにしようかと言う気持ちがあって、正直もうスケートに乗りたくないとも思いましたし、実際友達とも3日間ぐらい遊んだりして・・・。でも友達、昔のコーチ、親、いろいろな人と話して、こんなことやっている場合じゃないっていうか、現状を受け止めていかなければいけないと思いました。こんなこと当たり前で、常に成功ばかりではなくてW杯に一度くらい行けなかったからってくよくよしている場合じゃない。来年には五輪という大きな舞台が用意されているわけですし、トリノに絶対行きたいという気持ちがあるので、その気持ちを大事にして来年に繋がるようにシーズン最後まで頑張りぬこうと思っています。
――W杯には出れないわけですけど、残りのシーズンはどのように過ごすのですか?
また明後日から長野にいって合宿をします。長野では糸川さん(東京スピード)がW杯に行くまでつかせてもらって。糸川さんとはヘレンベーンの時に同部屋だったんですけど、やはり17歳で五輪に出られる(糸川選手は最年少で92年のアルベールビル五輪に出場している)という経験をされている方なので、非常に調整の仕方がうまく勉強になることが多いんです。それで2月の中旬には長野のエムウェーブで記録会があるので、そこで国内で1分50秒を切るという目標にもう一度チャレンジしようと思っています。ここで負けたら自分の名が廃るし、今までやってきたことが水の泡になってしまうんで、諦めることなく自分の滑りを見つめ直していい形でシーズンを終えて来年につなげたい。しっかりと最後までやってこそ来年に繋がると思うので。
――気持ちが前向きですね? このままじゃいけないという気持ちが出てきたので、そういった気持ちが出てきたからにはやるしかないなって。
――大学入学後、未だ世界距離別選手権への出場が果たせていないわけですけど、大学入学してからの3年間を振り返っては?
僕は、はっきりいって早稲田に来て失敗だとは思っていないです。他の大学に行けば他の大学での強さが出たんでしょうけど、この3年間振りかえって見てすごい充実していたと思う。自転車に挑戦したり、自分からコーチにアプローチしたりとかそういった他の学生にはない経験ができたと思うし、恵まれた環境でやれているので。
――今年、このもがいた経験はプラスになると思いますか?
絶対にプラスにしていかなければ意味がないので。悪い時に味わったことも自分の糧にして次に繋げていきたい。悪い時こそ次に繋げるチャンスだと思うので。
思い描いたシーズンとは逆の結果が続き、悔しい思いを味わうこととなってしまった今シーズンであるが、しかし苦しい中でも土井には諦めや投げやりといった気持ちはない。語気を強めて話す土井の姿からは「こんなんで終わってたまるか」といった強い気持ちがひしひしと伝わってきた。競技者として本当に大切なのは結果が出なかった時にどのようにその苦しい時期を乗り越えていくかであるということを、土井本人が一番良く分かっていた。だからこそ、どんなに苦しいことが続いても土井が自分の目標を見失ってしまうことだけはないだろう。苦しんだ経験もきっと土井がスケーターとしてより大きく成長していくための一つの糧になるのだから。
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