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[特別企画] 競走部 九鬼巧選手インタビュー「TO THE NEXT!!!」

九鬼巧選手特別インタビュー(第3回)

前のページより)



――日本選手権までに多くの大会に出場されましたが、経験の中で感じたこととは?
 まずシニアの大会に100mで出たっていうのが本当に大きかったです。あとはアメリカにも行かせてもらったんですけど、そこで、外国人の横に並んだらまだまだゴボウだな、細いなと思って。身体の大きさがやっぱり全然違うなと思いましたね。

――日本選手権に当たって目安としていたタイムはありましたか?
 タイムとしてはもう1回、10秒2台が欲しいということ。(日本選手権までの自己ベストが)10秒25だったので、あと0.01秒でB標準にも届きますし、出したいなと。やっぱり織田記念の高速タータン以外のところで出したいというのは自分の中で大きかったです。あとは決勝に残りたいっていう部分がありました。


 

予選では叩きつけるような雨が降っていたが、その雨をものともせずに見事自己ベストを出した九鬼選手。

――予選でその目標通りとなりましたね。(※日本選手権予選にて10秒23の自己ベストをマークし、五輪B標準を突破。)
 あの時はもう本当に調子が良くて、これは絶対タイムが出ると思ったので、雨が降っていても全然気にならなかったですね。

――調子が良かった要因は?
 ゴールデングランプリも関カレも、日本選手権のためにやってきて。ゴールデングランプリはそんなに調整しなかったんですが、その前後に負荷をかけた練習が多かった中での大会だったんですよ。そこからちょっと落として関カレでは少し思い通りにはいかなかったですけど、最後の4継の決勝は僕の中ではすごく良かったんです。自分の中でキレた走りができて、納得のいくもので。そこに5月の最初に走り込んでいたのが生きてきて、日本選手権にすっと入ることができました。

――日本選手権、決勝進出に当たって、どのようなプランで行こうと考えていたのですか?
 まずあのレーンを見た時に、これは絶対にしめたと思って。僕のレーンは中心選手である江里口さんと山縣と飯塚くんのはずれだったんですよ。もし中心選手の間に入っていたら両脇を意識してしまって硬くなっていたと思いますし、それに江里口さんの横っていうのは僕の中では大きかったと思っていて。
そこで先生と、「江里口さんについていこう」と確認しました。順位等については何も言われなくて、とりあえず「江里口さんについていけば最後に何かある」と言われて。そのことを頭に入れて走ろうと思いましたね。

――決勝のレースでは江里口さんとの大接戦でした。
 もうあの時は無我夢中でしたね。何も考えずに本当についていって。江里口さんと横に並んでいたので、勝てるかなって一瞬思ったんですけど、だめでした。

日本選手権100m決勝の速報表示。

――その0.01秒差は気持ちの部分であったと。
 そうですね。気持ちの部分かなと今は思っています。

―― では日本選手権での自身のレースを評価すると何点でしょうか?
 点数をつけるとしたら100点満点だと僕は思います。…あ、でも99点くらいにしておきます(笑)。やっぱり負けたんで。気の違いがあったので。
 でも流れがすごく良かったなと思うんです。まず予選でB標準が切れたことがすごく大きかったなって。あそこでB標準切れないまま決勝に行ってしまっていたら、決勝ではB標準を切らないといけないし、尚且つA標準を切っている2人に勝たなければオリンピックに行けないっていうのは分かっていたんで、そうすると本当に硬くなってしまうと思いますし。それが予選でB標準切れて、何も考えずにレースに臨むことができたので、本当に良い流れで試合が進められたんじゃないかなと思います。

――オリンピックを現実的に意識し始めたのは予選を通過したあたりからでしょうか?
 でもオリンピックは考えなかったですね。とりあえずB標準が切れたことが大きくて、欲を出せば次はA標準を切りたいなっていう思いも僕の中で葛藤がちらちらありました。

<第4回へ続く> 九鬼巧インタビュー最終回 〜オリンピック、そして第2の陸上人生へ〜 

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(TEXT 、PHOTO=矢野真由実
 


 
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