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    私の研究(1)
人間科学部報2000.11.20発行より
     
TEXT=宮城淳(人間科学部教授)
 


偶然出会ったテニスが人生を左右

 人生は、偶然の出来事によって大きく進路を変えるので誠に面白い。早稲田に入って偶然テニスを始め、就職もその縁で決まっていた総合商社から石油会社に変わり、30年近くビジネスの第一線で働いていた。そんな折、偶然に母校の教員となり、スポーツを教えながら逆に学生諸君から沢山のことを教わっている。この生活も残すところあと1年となったが、極めるべき道は遥かに遠く、一生模索を続けていくことになりそうだ。

様々な競技経験からテニスのトップを目指せ

 私はテニスというスポーツを通じて、どのような指導をしたら人間の身体運動のスキルを効率良く向上できるかに、関心を持ち続けてきた。日本のジュニア選手をなんとか世界の一流の大人の選手に育てたいと、10歳から14歳のトップ選手を合宿や長期遠征に連れて行き、いろいろと実験をした。私の今までの観察では、神経系のもっとも発達する時期にどのような身体運動の経験をさせるのかが、後のスキルの向上に大きく影響するように思える。例えば女子で世界ナンバー1のマルティナ・ヒンギスの身体のバランス感覚や、男子ナンバー1のピート・サンプラスのタッチショットのラケットさばきは、大人になってからでは決して身につかない能力であろう。日本では少年野球に入ったら1年中毎日野球ばかりになるケースが多いようだが、いろいろなスポーツを経験させた方が将来大成するのではないかと思う。

 この考えの一貫として、いろいろな競技種目の一流選手のスキルの形成の過程を、佐藤千春先生と共同で調査して後世に残しておくため面接してお話を伺っている。スポーツ選手には大変ヒントになることがあるので是非体育局紀要を読んで頂きたい。

 最近は、今まであまりスポーツに縁のなかった中高年の方たちに、テニスを指導する機会が多くなった。子供達と違って頭で理解しても身体がその通りスムースに動かない方たちに、どうしたら向上心を持続させ成功の喜びを味わっていただけるか、探究している。

 

TEXT=みやぎあつし
1930年生まれ。早稲田大学人間科学部教授。'63全米選手権(USオープンの前身)ダブルス優勝。専門分野/専攻分野:体育/スポーツ方法(テニス)。担当科目:スポーツ技術論・スポーツ方法実習・(硬式テニス)

 

 




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