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    私の研究(2)
人間科学部報2000.11.20発行より
     
TEXT=宮城淳(人間科学部教授)

0点が「ラブ」の謎

 もう一つの柱はスポーツの歴史の研究である。私はテニスの選手を長年やり、外国にもずいぶん出かけて由緒あるクラブでプレーしてきた。しかしテニスがどのように発展して現在のルールやマナーができてきたのか、現役の頃は知ろうともしなかった。何故0点が「ラブ」で次は15、30、40となるのか、デュ−スというシステムは何を目的として考案されたのか、テニスコートの広さやネットの高さはどう決まったのか等など。たかだか130年前のことなのに諸説粉粉としてそれぞれに真実らしい理由付けがされていて、興味はつきない。

 多くのスポーツ種目で19世紀の半ばから後半にかけて近代スポーツとしてルールの統一がはかられているが、それは産業革命後の科学技術の急速な発展と社会情勢の移り変わりに従って必然的に起こったものであり、21世紀にはどのような変化があるのか考えるのも楽しい。

想像力と柔軟性を持つ

 スポーツの研究とは関係ないが、私は日本の近代史のなかで幕末から明治にかけての時期に大変興味を持っている。あの大変革をなしとげ日本の運命を切り開いたのは学生諸君とあまり年の違わない若い人達だったのも印象深い。現代は明治維新、太平洋戦争の敗戦に次ぐ3回目の大変革の幕が切って落とされたばかりだ。今まで日本の社会を支えてきた諸制度が崩壊し、全く新しいシステムに移り変わろうとしている。私には学生諸君がこのことの認識がなく、社会に出て行く準備を怠っているように思えてならない。語学やコンピューターは当然だが、創造力の豊かな柔軟な頭脳を養うよう、幅広い教養を身につける努力を切望する。

 

TEXT=みやぎあつし
1930年生まれ。早稲田大学人間科学部教授。'63全米選手権(USオープンの前身)ダブルス優勝。専門分野/専攻分野:体育/スポーツ方法(テニス)。担当科目:スポーツ技術論・スポーツ方法実習・(硬式テニス)



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