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    三浦卓行 (早稲田大学漕艇部)
          
TEXT=神原一光

とにかく、勝てるチームをつくりたい。(一話完結)

 スポーツ選手には、大きく分けて2つのタイプが存在するという。周りの視線に目も暮れず、ひたすら自分の世界に打ち込むタイプと、周りを巻き込むことによって自分の世界をつくっていくタイプだ。前者の最たるものと言えるのが中田英寿やイチロー。後者は「ゴン」こと中山雅史といったところだろうか。どちらも強烈な個性で私達を魅了する。その両極が同じフィールドでぶつかりあう。スポーツの面白さはこんなところにもある。

 創部99年を迎える漕艇部の新主将、三浦卓行(人3)選手はというと、まさしく前者だろう。物静か、それでいて存在感のある選手。質実剛健のワセダ、その主将にふさわしい資質を兼ね備えている。


三浦卓行

1980年、秋田高出身。 スポーツ科学科3年。
座右の銘は「何事も極限まで」



 とにかく、勝てるチームをつくりたい。主将の抱負を、三浦は力強く言い放った。その言葉の裏には、昨年の部の満足できない成績があった。女子では岩本亜希子選手(教4)がシドニー・オリンピックの代表に選出されたりと話題の多かった漕艇部であったが、男子は春の早慶レガッタで一昨年に続き連敗、夏のインカレでも決勝に進むことはできなかった。

 インカレを制した日大や2位の中大は、平均身長が190B、平均体重も80L近くあるという。それに対し、早稲田は、平均身長が180B前後、体重も75Lくらいしかない。パワー勝負、体格差がものをいうボートの世界でこの差は明らかに大きい。

 伝統のある漕艇部はとにかくキツイ練習で有名だ。埼玉県戸田市にある戸田漕艇場に宿舎を構え、毎日、一日を2部に分けて練習。1限のある時は、朝4時半起床。もちろん門限も厳しい。他の部で例えるなら、年がら年中合宿してるようだという。

 しかし、昨シーズンの低迷を受け、今年から部のOBで明治生命ボート部で活躍されている岩畔(いわぐろ)道徳氏が新コーチに就任。その伝統が新しいものに変わってきたという。2部練は試合前の合宿期間のみで、普段は一日1回として、メリハリをつけた。岩畔コーチは、今までの古い体質、練習方法を大きく変えた。体格の大きい(前出の日大や中大などの)チームは以前の練習でも体が持つが、早稲田は持たない。僕らは僕らなりに考えて練習していかないと、疲れ過ぎてしまって後は、モチベーションが下がっていくだけ。

 伝統を変えるという大英断をした部を三浦はこう語る。いままでは過去の例を見て判断してきた部分があったけれど、それがなくなった今、すべてを自分達で考えなければいけない。責任は大きいけれど、僕たちはこの変化を”挑戦”ととらえている。やりがいがある。

 変革一年目は、その真価が問われる一年でもある。三浦にとっても学生最後の年、主将として結果を残せるか、三浦にとっても漕艇部にとっても勝負の年になりそうだ。


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