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2003/11/23 [米式蹴球部]

ラスト1秒、奇跡の同点劇も延長戦で力尽きる。「打倒・立命」の夢は来年に持ち越しに。

 
 
 
 
 
 
 
東海大
37
7-7
34
早大
7-13
13-0
7-14
3-0

関東大学アメリカンフットボール選手権
第4回クラッシュボウル準決勝
早稲田大学×東海大学

11月23日(日・祝)駒沢陸上競技場

 関東大学リーグ戦Aブロックを全勝で通過し、2年連続となるクラッシュボウルに進出した早稲田大学ビッグベアーズ。クラッシュボウル準決勝の相手は、昨年21-16で破った東海大学である。去年の甲子園ボウル、そして今年のヨコハマボウルの屈辱を晴らすべく、「打倒・リッツ」を目標に掲げるビッグベアーズにとって、ここでは負けられない一戦であった。

 第1クオーター1分、QB波木(法4)からのパスをTE八角(一文4)が受け、早稲田が幸先よく先制タッチダウンを獲得するも、その直後のシリーズで、東海大に6連続ファーストダウンを許し、早稲田ゴール前1ヤードまで攻め込まれる。そこから最後はRB岩崎が飛び込みタッチダウン。同点に追いつかれてしまう。このあと早稲田は波木とWR小林(理工4)のタッチダウンで13点を、東海大はRB進士のタッチダウンで7点を積み重ね、20-13と早稲田が6点のリードを奪って前半を終えた。

 しかし、後半開始早々、東海QB石川のパスを受けたWR林に、早稲田ゴールに走りこまれタッチダウンを奪われる。コンバーションも成功させられ20-21と逆転を許すと、東海自慢のラン攻撃が早稲田ディフェンスを切り裂いていく。進士と岩崎の2人のRBがキレの良いラッシングで幾度もファーストダウンを奪っていく。この2人が走ってくると分かっているのに止められない早稲田のディフェンス。第3クオーターの4分にも岩崎にタッチダウンを奪われ、点差は7点に広げられる。早稲田も第4クオーターにRB神(教4)がタッチダウンを奪って反撃する(コンバーション不成功)も、すぐさま東海大の進士がタッチダウンを奪い返し(コンバーション成功)、8点差にリードを広げられてしまう。

 この後、両チームとも無得点で進み、迎えた早稲田の攻撃。時計の数字は残り1分を示し、攻撃は自陣の深いところから開始する。相手に取られたら終わり、この絶体絶命の状況で、奇跡が起きた。波木がやってくれた。パスで東海陣30ヤード付近まで進出し、時間はラスト1秒。これが最後のワンプレーというところで、自らボールを持って走り、東海ゴール左隅まで走りきりタッチダウンを決める。32-34の2点差。2ポイントコンバーションも波木からTE安村(法4)へのパスが通り、まさに奇跡的な展開で同点に追いついた。

 この時点で、誰の目から見ても勢いは早稲田にあった。早稲田側のスタンドは押せ押せムード、東海側のスタンドは意気消沈していた。早稲田側の人間は、誰もが延長での勝利を確信しただろう。だが、早稲田に起こった奇跡はここまでであった

 タイブレーク方式(注)で行われる延長戦の1回表、コイントス先行となった早稲田は残り9ヤード地点まで進出するも、ここで波木のパスが相手にインターセプトされ攻撃権を失う。その裏、東海大は残り15ヤード付近からDB志村がきっちりFGを決め、ここで試合終了のホイッスル。34-37で早稲田は東海大に敗れた。

 もし、である。2回不成功であったコンバーションが1度でも決まっていたら…。延長でのインターセプトされた波木のパスが通ってたら…。コイントスで、タイブレーク方式において圧倒的不利と言われる表とならず、裏になっていたら…。おそらく、試合は別の終わり方を迎えてただろう。しかし、たらればを幾つ積み重ねても、結果が覆ることなどない。試合後のミーティングで、選手たちは誰もが目に涙を浮かべていた。波木も、涙を隠すかのようにを見上げていた。このとき、波木は、選手たちは何を思っていたのだろう。それは分からない。しかし、この涙が波木の今後、そして、来年の米式蹴球部の糧となることを期待したい。

注)タイブレーク方式…両チームそれぞれファーストダウン残り25ヤードから交代で攻撃を行い、サドンデス方式で勝者を決める方式。

 

関連URL
早大米式蹴球部公式サイト
東海大学アメリカンフットボール部公式サイト
関東学生アメリカンフットボール連盟

 

(TEXT、PHOTO=田村拓実)
 


 
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