(前ページの続き)そんな佐藤だったが、先輩や同学年の”熱さ”に影響されるにつれ、”ア式への思い”が次第に強くなっていった。
「1年の頃って仕事とかすごく多くて大変なんですよ。朝起きて眠くてもグラウンド整備とか色々して。実際、他と比べても環境は厳しいとは思いますよ。だから、サッカーが大好きで、早稲田が大好きでないと乗り越えられないんですよね。そんな環境の中で、先輩や同学年の熱さにすごい影響されて、だんだんに早稲田いいなぁ、熱いなぁ。って思うようになって。そしたらだんだん染まっていっちゃって(笑)。今は入学当時とは180度違いますね。」
そんな佐藤の変化は、部員にも伝わっていった。主務の一政は「あんたも変えられたかもしれないけど、あんたに変えられた人もたくさんいるからね。」と話す。ア式蹴球部は常にそうやってお互いを刺激しあい、チームを創り上げてきたのだろう。そして今期主将となった佐藤は、さらにその立場の意味も強く感じている。
「1〜3年の頃は自分勝手なプレーヤーでした。申し訳ないくらい。それに対して今年はキャプテンとしての役割があると思うし、自分でも意識しているところはあります。でも、カリスマ性とかいうものはやろうと思ってできるわけではないんで、どういうところで自分を出していけるかなって考えたんですよ。そして、まずは常に声を出してみんなを盛り上げるとか、意識すればできることをやっていくことにしました。そういう(意識すればできることの)積み重ねの結果として、自分にも(主将としての)なにかが出てくればいいんじゃないかと思っています。」
リーグ戦は前期・後期各校2回総当たりの計14節で行なわれる。既にその闘いは始まっており、実力が拮抗した2部は早くも混戦模様を呈している。リーグでは技術力以上に、流れに乗ることや精神力が結果に大きく関わってくる。大学サッカーはJリーグや日本代表、冬の高校サッカーに比べるとマスコミへの露出も少なく、地味である。しかし、それゆえにサッカーの純粋な部分が見られるのではないか。「気持ちで闘っている部分が多いので、そこを見て感動してもらえればと思います」という佐藤達の試合を観にぜひ会場に足を運んでみてはいかがだろうか。
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