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チーム全体の順位で見ると予選会、そのリベンジを計った全日本大学駅伝ともに、明るい話題ではない。しかし夏以降、一般入試で入学した部員や下級生の力が伸びて安定し、チーム全体の力が底上げされてきた。
――下級生や一般入試で入学してきた部員の力が上がってきましたね。
五十嵐:ただつなぐだけでしたら今の力のままでもいいと思うのですけれども、やはりつなぐだけでは戦えません。早稲田のレベル自体がまだまだ上げられると思いますし、力がついているというよりは、特選(スポーツの特別選抜入試で入学した部員)の選手が走れていないというのが、そういう状況に見える一要因だと思いますので。特選の選手に(一般入試で入部した選手が)少しでも近づいて往路で特選が走るというのが、早稲田のスタイルをイメージする時に非常に強いチームなのですが、(一般が)そこに割って入ってあふれるくらいにならなければ厳しいというところもあります。まだまだ上の選手にも力をつけてもらって、それに少しでも近づいてもらえれば、一般の意識も上がると思いますので。
和田:推薦入学の選手と一般で入った選手の力の融合といいますか、力が合わさった時に早稲田は良い成績を残せていると思います。今年で言えば、三年間補欠にもならなかった河津(直行・一文4)は四年目でやっと16人のメンバーに入りましたが、そういうメンバーは四年目ではなくて早い段階でもって出てくるようなチームになっていれば、さっき五十嵐が言ったような、つなぐだけではなくて貢献できる選手になれるのではないかと。それは意識の差というものがあるのだと思います。特別選抜で入ってきた選手は全国トップですから当然狙うのは学生トップであったり、それ以上の世界を目指すという目標を持って入部してくる訳ですが、一般の選手は箱根駅伝や関東インカレに出場するのが目標であるなど実際に違います。当然結果として箱根駅伝で終わってしまう選手がいてもおかしくないとおもいますが、「俺は箱根だけではなくて、もっと上を目指しているんだ」という意識を叶わないにしても一年生のうちから特別選抜の選手と一緒に持って取り組めば、それなりの結果が出るのではないかと思います。ですが今、三、四年生の段階になって確かに河津は箱根駅伝だけの選手ではなかったと思いますが、一、二年生の時にそういう高い意識だったのかというと疑問ですし、そういう選手がもっと出てくるようになれば、早稲田もさらに良いのではないかと思います。
指導者から出された練習のメニューをただこなすのではなく、それを選手自身の体調などに合わせてアレンジを加えて試合に結びつけることが、特に上級生を中心にできるようになった、それを下級生も見習う雰囲気ができつつあると、五十嵐と和田は言う。頭を使って必要な時に必要な練習をすること、これは言うのは簡単だがひどく難しく、重要なことだ。このようなチーム内の雰囲気の影響もあるのか、ここ最近の早稲田は上昇気流を描いている。11月23日の府中ハーフマラソン、11月29日に日体大グラウンドで行なわれた長距離記録会では主軸となる選手が相次いで自己記録を更新、または好記録をマークしている。五十嵐も夏以降に陥った「思うように走れず、練習も余裕がなかった」状態を脱し、余裕を持って楽にこなせるようになってきたという。チームはとうとう数週間後に迫った箱根駅伝に向けて、着実に安定した力をつけてきている。
――現在のチーム内の雰囲気はどうですか。
五十嵐:今年の層は薄いし、強い人間も限られてくると思うので、自分が怪我したら終わりだっていう意識が強いのが今年の特徴だと思いますが、箱根に向けて自分たちがどれくらいやれるのかが見えてきたかな。故障者も体調不良者もいないので、力を出したらどれくらいいけるのかな、と。どちらかと言えば楽しみな感じですね。昨年は故障者が多くて、その中にも「いけるのでは」というあんまり確信のない自信があって、それが油断となって落ちるところまで落ちたという状況がありました。その時の変な自信を持った空気というのが当時かなりチーム内に蔓延していて、「このメンバーでもいけるのではないか」というのがあって、一年(このチームで)やってきてこの時期になり、あの雰囲気は作り出してはいけないのだなぁ、というのがありましたね。
和田:今年は故障者、体調不良者ともにゼロでここまでこられましたので、ここからも故障者、体調不良者を出しません!去年は府中ハーフマラソンが終わったあたりから続々と(故障者が)出て、今年はまったくと言っていいほど出ていないので、スタッフの立場から見れば逆に今年は故障者が出なさ過ぎるのも心配で…。全く出ずに本選まで行ければいいですが、もし出てしまった場合は監督や(渡辺)コーチともすぐに対応できるようにとは話しているのですが。とにかく選手自身が故障、体調不良を出さないように心がけるしかないですね。
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