大学スポーツとして知名度が高い競走部ではあるが、その華やかな舞台に立つのは一握りの選手のみ。主務という役割はいわば「裏方」である。そして、大学生活のほとんどを競走部の駅伝主務として送った吉原。長い主務生活の中で、一番嬉しかったこととは何だろうか。そして選手としては一度も走ることがなかった箱根駅伝、彼にとってどんな存在なのだろうか。
――主務をやっていて嬉しかったこと
吉原:先日、森村哲(人科4)が記録会で一万メートル二十八分台を出した時に、「(二十八分台出せるから)このチャンスを逃すな」って応援したんです。記録が出そうなペースで伸びていたのですが、いつ(ペースが)落ちてもおかしくなかったので。そうしたら、終わった後に(森村選手が)「おまえが言ってくれたから出たよ」って言いに来て。そういうふうに、選手が走り終わってから笑っている時が一番嬉しいですね。練習をやっていて良かったんだなっていうのが分かるので。
――自分にとっての箱根駅伝とは
吉原:学生生活のすべてを捨てても打ち込めるもの。自分にとっては、ですけれど。なぜって聞かれると詰まるのですが・・。自分でもよく分からないですね、そういう魅力があるからかな。いろんなものを犠牲に出来ますね、自分が走らなくても。自己満足の世界なんですけれど(笑)、(自分が)こういうことをやっていてもし優勝できたら、やっていて良かったなと思えるので。でもたとえ優勝できなくても、選手のみんなが自分の力を発揮してくれれば、自己満足できますね(笑)。
選手に対する思いやりやチームの向上への情熱に溢れている吉原。だが、彼の主務としての役割は終わりに近づいてきている。今季の箱根駅伝を最後に引退し、来季に四年生になる後輩に主務という臙脂の襷を託すのだ。その時までもうしばらく、早稲田大学競走部駅伝主務吉原健一は、走りつづける。
小特集「箱根駅伝を支える裏方達」
選手サポート「島田陽介・宮村誠志
トレーナー「小松良平」(12/29更新予定)
特集
箱根駅伝特集〜繋げ、臙脂の絆〜
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