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#4 QB安村健志選手
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(前のページの続き)早慶戦も終わり、次はいよいよ春の大一番・ヨコハマボウル(注4参照)を迎えることとなった。この特集でも何度も述べてきたが、ヨコハマボウルでは昨年甲子園ボウルで激突した立命館大学と対戦する。昨年実際に戦ってみて、王者立命館にどういう印象を持ったのか。有泉主将を取材した際にも聞いたこの質問をしてみると「どこのポジションにも穴がない」という答えが返ってきた。「誰一人として力を抜いてないなと感じてますね。ボールが出されてもDL全員が懸命に追っかけてくるんで、ロングゲイン(注5参照)には繋がらないんです。基本的なことが凄くできていて、立命館はその基本的なことが高いレベルにあるから強いんだと思います」。
早慶戦が終わって束の間、BIG BEARSは照準を立命館戦に定め、毎日練習と戦術確認、さらには相手の研究に明け暮れている。「最初立命館の(試合の)ビデオを見ると必ずテンションが落ちるんですよ(笑)とにかく強いから。でも何回も見てると『いけるんじゃないか』って思ってくるんですよね。ただ目が慣れてきてるだけなんですけど(笑)」。早慶戦が終わった夜に立命館のビデオを見ると立命館の強さが際だって見えて、早慶戦でベストプレーヤー賞を受賞した余韻がその日のうちに消えてしまった。それほどまでに強い相手。ではその相手に対して、どういう主題を持って戦おうと考えているのか。「立命館は自分よりもフットボール経験の場数がある選手ばかりです。自分よりも強くて速いので、そういう相手とどれだけやれるか。自分としての価値も分かりますし、自分の力を試せるいい機会だと捉えています」。
最初は歯が立たないと思っていた“王者の壁”。しかし最近では僅かながら勝機が見えてきたという。「厳しい相手には変わりないんですが、自分より強い相手に集中力を持ち続けて戦えれば、人間としても自信になると思うので、それは目指したいところですね。ただヘコんで帰ってくるだけかもしれないですけどね」。立命館という大きな壁に対して立ち向かう意識の強さとともに、決して謙虚さも忘れない安村選手であった。
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#4 TE安村健志選手
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今年のチーム目標はもちろん『日本一』。安村選手個人として、この命題に向かってどう貢献していきたいかを尋ねると、「TEとしてこうしたいっていうのはないんです」とキッパリ答えた。「それよりもオフェンスリーダーとして勝てるオフェンスを作っていかなければっていうのがあって。奈良コーチが考えていることを下の人間に伝えるパイプ役を果たすことが自分の一番の役割ですね。疑問視しながらやっていると、できるものもできないんですよ。みんなが同じ目標に向かってやっていけるのが一番大事。みんなの意思を統一することに時間を使ってやっていますね。みんなが僕のことをどう思っているか分からないですけど(笑)」。
一プレーヤーとしてよりも、まずはオフェンスリーダーとして重要な責務を負う安村選手。ではオフェンスをどう引っ張っていこうと考えているか、と尋ねたところ、彼は意外な言葉を返した。「オフェンス全体を実際フィールドで牽引するのは健太郎でいいと思うんです」。試合の前段階では自分がリーダーシップを取ってやっていかなければならない。しかし、一度フィールドに立ったらQBがオフェンスを仕切らないといけない、そう考える安村選手。「試合では健太郎に任せて、僕は11人のうちの1人の駒として動こうかなと思っています。それだけ健太郎は信頼できるQBなので、他のチームと比べて僕は楽だと思いますね」。取材前に安村選手に記入してもらったアンケート用紙。ここには個人目標として『1試合1TD』と記されていた。最後にこれを目標に掲げた理由を聞いてみると「1試合1TDは簡単そうで難しいと思います。でも、まずはオフェンスリーダーとして自分があって、そこに一番神経を使った上で、1試合1TDという結果が残ればいいと思っていますね」。(終)
語注
(注4)ヨコハマボウル=6月1日に横浜スタジアムで行われるアメフット界注目の大会。13時からの「早稲田大学ビッグベアーズ×立命館大学パンサーズ」の前には、10時30分から「関西学院大学ファイターズ×明治大学グリフィンズ」が組まれている。また、16時からは社会人のゲームが行われる。
(注5)ゲイン…パスプレイやランプレイなどで陣地を進めること。
プロフィール
名前:安村健志
所属・学年:早稲田大学法学部4年
生年月日:1981年7月23日
出身地・出身校:埼玉県出身/東京・早稲田大学高等学院卒
身長・体重:180cm・85kg
今年の個人目標:「1試合1TD」
マイブーム:交替浴
↑最初湯船に浸かって体を温めてから、水シャワーを浴びて、それからまた湯船に浸かって。それを3,4回繰り返してやると血行が良くなって、ストレッチがしやすくなるそうです。
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