中学ではバスケットボールをやっていた安村選手。早大高等学院に入学してから、転機が訪れる。安村選手とフットボールとの出会い。「つまらないですけど大丈夫ですか?」と前置きしつつも、こう話してくれた。「始めたきっかけと言えるものは実はないんです。高校に入ったときに、アメフト部の勧誘が本当に凄く毎日休み時間ごとに来てて、それじゃ行ってみようかとただ思っただけなんですよ」。関西では中学から始める人も多いが、関東では中学校に部活ですら存在しないのがアメリカンフットボールの置かれている状況。「経験者でなくても日本一になれる」という積極的な勧誘もあり、高校でフットボールを始めることした。「早稲田だからラグビーをやらせたかったみたいなんです、うちの親父は(笑)」。
高校で始めたフットボール。その頃からQB(注1参照)としてプレーしてきた安村選手だったが、今年、大学4年にしてQBからTE(注2参照)へ大幅なコンバートを敢行した。司令塔的存在のQBからオフェンスラインの一角を担うTEへ。正直、とまどいや不安はなかったのだろうか。彼にこの質問をぶつけると、意外な言葉が返ってきた。「とまどいは全くないですね。元々TEをやりたいって言ったのは自分からなんです。志願したのは去年ですが、その時点では控えのQBもいなく、QBコーチからもQBで行ってくれと言われていたんです」。しかし今年は大型新人QBの新田洋選手(スポ1)が入学。大黒柱であるQB波木健太郎選手(注3参照)のバックアップを任せられる人材がチームに加わった。機は熟した。「今年ならTEに行ってもいいかなと思いました。ちょうどTEも人材不足で、安村がTEやったら面白いんじゃないかっていうのはコーチにもあったらしく、自分で志願していたぐらいなのですんなり順応できました」。
去る5月18日に行われた伝統の早慶戦。安村選手は2本のタッチダウン(以下TD)を決め、BIG
BEARSの勝利に大きく貢献した。「1本目のTDはTEがパスコースをチョイスするプレーでした。これは自分がQBをやってたときからのプレーで、今年は実際自分がTEに入って、春頃から健太郎(QB波木選手)とのタイミングが合ってきたので、それが試合で結果を残せて良かったです」。オフェンス全体では90点のデキだったという早慶戦。では、安村選手の自己採点は?「パスキャッチに関しては100点あげてもいいとは思うんですけど、全体としては50点ぐらいですね。(減点材料は)ブロックがさっぱりだったんで。慶應のDL相手に全然ダメだったので、これじゃ立命館にはお話にならないですね(笑)高校からQBだったんで、ブロックに関しては一からのスタートです」。(次のページへ)
語注
(注1)QB=クォーターバックの略。アメフットの攻撃すべての起点でありチームの司令塔。
(注2)TE=…タイトエンドの略。OLの選手同様に相手の守備の選手がQBに襲い掛からないようにブロックしたり、RBが走り抜ける抜け道を作ったりすることが主な仕事。また、QBから短いパスを受けることもある。TEがいることで攻撃のパターンに更に幅ができる。
(注3)QB波木健太郎選手(法4)=BIG BEARSになくてはならない大黒柱であり副将。今年7月にドイツで行われるW杯日本代表に大学生で唯一選出された。
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