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往路総評

 大学創立125周年を迎えた2007年度の早稲田は、5年ぶりに 大学三代駅伝全てに出場を果たすこととなり、再び名門復 活へ歩み始めた。日本長距離界のエースへと成長を遂げた 竹澤健介(スポ3)を中心に据えるチームは、出雲駅伝では10 位に終わるも、11月の全日本では見事5位入賞を果たすなど 、箱根に向け着実にチーム作りを進めてきた。しかし、大 会直前に竹澤の故障が発覚。まさにチームとしての真価が 問われる事となった今回の箱根駅伝。そして2008年1月2日 午前8時、気温3℃。冬の青空が広がる大手町に号砲が鳴り 響いた。

大混戦の序盤(1区、2区)

 

 2年連続で1区を務めた阿久津圭司(スポ3)を故障で欠く早稲 田の1区は尾崎貴宏(スポ2)。レースはスローな展開となる 。中盤まで20人全員での集団走が続き、15kmを過ぎても、 互いに牽制し合い大きく仕掛ける者は現れない。16km過ぎ で東洋大・大西が飛び出し集団が縦長になると、六郷橋ま でに尾崎を含めた先頭集団は11人にまで絞られる。そのま ま残り1kmまでレースは進み、終盤見事なラストスパートを 見せた城西大・佐藤がトップで鶴見中継所に飛び込んだ。 尾崎も終始安定した走りで、トップとはわずか4秒差の3位 で襷を繋ぎ1区起用の期待に応えた。

 絶好のスタートを切った早稲田であったが、各校のエース が集う花の2区で苦戦を強いられる。今年度急成長を遂げ、1 区の順位を極力キープする走りが期待された高原聖典(人2) は、2km過ぎで山梨学院大・モグス、中央学院大・木原にか わされると、11km付近では東海大、日体大らの集団に飲み 込まれ、権太坂の時点で8位にまで順位を落としてしまう。 その後、格上のランナー相手に粘りの走りを見せるも、結 局12位で3区に襷を繋いだ。 一方、4km付近から独走態勢を築いたモグスは区間記録を23 秒も更新する快走で、圧倒的な力を見せ付けた。東海大・ 伊達、日大・ダニエルもそれぞれ、13人、14人抜きの好走 でチームを上位に押し上げた。


流れを引き寄せた3、4区

 

 近年重要性を増し、いまや準エース区間とも言われる3区に 登場したのはエース竹澤。怪我の影響が心配されたが、落 ち着いた走りで着実に順位を上げ、流れを引き寄せる。中 央大・上野が前方で快調に飛ばし2位に躍り出る一方で、竹 澤は11km付近で駒大らの4位集団に追い付いてみせる。時折 痛めている左足を気にする素振りを見せる竹澤だったが、 その後19km過ぎで東洋大・若松がスパートをかけると、苦 しい表情を浮かべながらも必死で食らいつき、結局5位で襷 リレー。状態が悪いながらも、見事な区間賞の走りで、順 位を7つ上げ、チームを勢いづけた竹澤に、真のエースとし てのあるべき姿を見た。

 4区。エントリー変更で起用された中島賢士(スポ1)は、駒 大、東海大と5位集団を形成し、レースを展開。11km過ぎで 東海大・平山が遅れ始めると、16km付近で中島も駒大・平 野に次第に離されてしまう。その後はなんとか踏ん張り、 トップを独走する山梨学院大とは1分28秒差の6位で、5区の 駒野亮太(教4)に襷を託した。


主将の好走で12年ぶりの往路優勝達成

 

 最長区間の5区。自身三度目の「山登り」に挑む早稲田の主 将・駒野は、スタート直後から区間記録を上回るペースで 快調に飛ばし、5kmまでに東洋大、中央学院大をかわし4位 に浮上する。その後も早稲田が誇る「山のスペシャリスト 」の勢いは衰えない。7.7kmで中央大をかわすと、8.4kmで2 位駒大・安西を捕らえ、その後は並走が続く。そしてつい に、10.6kmでトップの山梨学院大を逆転しトップに立って みせる。12km過ぎには追いすがる安西を振り切り、徐々に 差を広げていく。例年のような山特有の寒さのない、高コ ンディションも手伝い、駒野は後半の下りに入っても、多 くの声援を背に、力強く箱根路を駆け抜け、見事芦ノ湖の ゴールテープを切った。主将としてチームをまとめる傍ら で、箱根の5区に向けて人一倍練習を積んできた駒野。学生 最後となるレースで、区間記録にあと7秒に迫る1時間18分12 秒で区間賞、そして早稲田を12年ぶりの往路優勝に導く大活 躍と、大輪の花を咲かせて見せた。


総合優勝に向けて

 全員が自身の力を遺憾なく発揮し、目標にしていた往路優 勝を成し遂げた早稲田。しかし、2位の駒澤大との差は僅か1 分14秒。その上、優勝候補に挙げられる駒大や東海大は復 路に力のある選手が多数控えている。8位東海大までが5分 以内にひしめく大混戦の今大会。早稲田の総合優勝への道 はとても険しいものになるだろう。往路の良い流れを引き 継ぎつつ、爆発力のある選手がいない分「堅実な走り」で 襷を繋ぎ、そして再び今日のような早稲田の選手たちの笑 顔が大手町に輝くことを期待したい。

 

2008年第84回東京箱根間往復駅伝競走 往路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

尾崎貴宏
2
教育
秋田・秋田中央
1.04.41
3
3

2区

高原 聖典
2
人科
佐賀・白石
1.10.09
12
12
3区
竹澤 健介
3
スポ科
兵庫・報徳学園
1.03.33
1
5
4区
中島賢士
1
スポ科
佐賀・白石
56.34
8
6
5区
駒野亮太
4
教育
東京・早稲田実業
1.18.12
1
1
5.33.03
 
1

 

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=神崎風子)

 

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