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――ア式の魅力とは?
坂本:
常に見ていて楽しいところかな。プレーもそうだし、今日の試合(*このインタビューの前に4年生の引退試合が行われました。)とかも、やってる僕らも楽しいんだけど観ている人達も楽しめたと思うし。そういう雰囲気を作れる選手も多いし、周りも作ってくれるし、監督も作ってくれたし、やってて楽しいし観てて楽しいし、関わる人全てが楽しめるっていうのはうちのチームの魅力だったなと思うし、これからもそうあってほしいです!
中澤:
うちの魅力は個性かなって思ってて、100人くらい部員がいるんですけど、100人が100人全て全然違う人間で、学ぶこともすごく多くて、みんなと接するだけで自分が成長できたかなって思います。
板垣:
トップチームもサテライトチームも学年も、どの関係をみても仲が良いところです。練習中も、もちろん仲が良いだけじゃなくて厳しさもあるんですけど、全体的に良い雰囲気でやっているし、普段の生活でも学年関係なく仲が良いし、監督と選手も仲が良いし、スタッフと選手も仲が良いっていうことがすごく良かったと思います。それだけじゃチームは勝てないと思うんですけど、日々練習していく中で、激しく言い合うことはそんなにないけど徐々に高めていって、最終的には優勝につながっていったっていうのがこのチームの特徴で、良かったなって思います。
――後輩たちに期待することは?
坂本:
全カテゴリーを総なめにしてるから次は追われる立場になるんですけど、それをプレッシャーに感じずに、今の4年が抜ければまたサッカーも変わると思うし、のびのびと自分達らしく、早稲田の誇りを持って楽しんでサッカーやってほしいですね。悔いはなかったって言えるように。メンバーを見ても日本一になれるチームだと思うんで、頑張ってほしいです。
板垣:
新チームになって監督も代わって、色々と体制が変わる時の変化がトレーナーとかスタッフにとっては大きいと思うんで、色々と適応するのが大変だと思うんですけど、後輩仲良く、チームを一生懸命支えられるようにみんなで頑張ってほしいです。
中澤:
早稲田にはあと3人学連がいて、板垣君が言ったように監督も代わって新体制になると、けっこう色々と監督さんも分からないことだらけで、それを教えていくっていう役割もあって大変だと思うんですけど、僕が教えられる知識は全部詰め込んだし、頑張れる子達なんで心配はしてないです。チームもこれまでとはまた違う色になると思うんで、やってる方も観ている方も楽しめるような魅力あるサッカーが出来るチームになってくれればなぁって思います。あと連盟の方で他の大学の後輩たちもいて、彼らもすごく頑張り屋さんで、それを見て自分も頑張ってこれたので、これからも支え合える様な組織であってほしいって思います。
板垣:
中澤は精神的支柱だったらしいっす。噂によると。
中澤:
いや、噂にすぎないっていう(笑)。
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――今後の進路とサッカーとの関わり方は?
坂本:
僕はまず就職して教育関係の仕事を学んで、それからスポーツ関連の仕事に就くか仕事を始めたいと思っています。大学に入ってから見えてきたものがあって、僕が言うのもなんですけど、大学4年間の中で今年Jに行く選手達はすごく人間的な部分で成長したと感じていて。セカンドキャリアって色々言われているけど、その前にもっと日本でスポーツ選手の価値が高まるためには、スポーツ選手になる前の教育が重要になってくると思っていて。アメリカはすごい進んでて、例えばNFLとかだと大卒の選手以外は入れないとか、スポーツ選手であることに価値があってステータスが高いっていうのは向こうでは当たり前で。それを日本でもやれればスポーツの人口が増えるし。「尊敬できる人がいて、その人がたまたまこのスポーツをやっていたから、じゃあこのスポーツを見てみよう。」っていう感じで、日本のスポーツ全体の人口も広がるし、それを目指す子ども達の夢も広がるし。僕は教育を学んでスポーツ選手の人間教育的なことをやっていきたいなと思ってます。やりたいことの枠がでかいんですけど。
板垣:
これを見ている誰かが採ろうとするかもよ。「坂本君、来ない?」って(笑)。
坂本:
ヘッドハンティング待ってます(笑)。
板垣:
僕は専門学校に鍼灸の資格を取りに行きます。そこを卒業した後に、出来ればJリーグのトレーナーとしてやれたらやりたいですけど。
ウィルウィン:
やってください!
板垣:
はい。
坂本:
進路決まった(笑)。
板垣:
トレーナーとしてこれからもサッカーと関わっていきたいですね。
ウィルウィン:
社長はどうですか?社長になりたいですか?
中澤:
そう書いといてくれますか(笑)?僕は外資系のホテルに就職するということで、色々な国の人々と接する機会があるので、言語もそうですけど、文化なり社会なりを学んでいけたらなと思っています。
坂本:
説明の仕方がすでにホテルマンっぽい!
板垣:
さすが社長だよ〜。
中澤:
サッカーに関しては、試合を観たりフットサル軽くやったりっていう程度になると思うんですけど、コーチングの資格も持ってるんで、コーチとかやる機会があればなぁって思います。
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――それでは最後に、卒業を控えた今、思うことは?
中澤:
まずインカレを優勝して僕も本部の片隅で一人でしくしく泣いて、若干本部の人にひかれて迷惑をかけたんですけど(一同爆笑)。そういう経験っていうのは万人が出来ることじゃないと思うんで、本当にチームにも感謝してますし、自分は本当に幸せ者だなぁって思います。社会に出ても、ア式や早稲田の誇りがあるんで、それを持って社会人として社会に貢献出来るように働いていきたいと思います。
板垣:
とりあえずゆっくり休みたいな(笑)。今までずっと働いてたんで。
中澤:
温泉でも行ってね。
板垣:
そう、温泉でも。
中澤:
温泉大好きなんで。
坂本:
この人達おっさんだよ(笑)。この二人に戸田(戸田裕之、スポ4)と中島(中島健太、社4)も入れて、『チーム温泉』(笑)。
ウィルウィン:
ぜひゆっくり温泉に浸かってきてください(笑)。
坂本: 本当この4年間に悔いはないなって思います。あとは働くまでの時間で出来ることをしたいし、いろんな人に会いたいと思っています。今まではサッカー人としてだけしか生きてなかったから、これからはもっといろんなところを見て、海外にも行きたいし、もっといろんな経験をしたいです。
板垣:
今まで4年間、多くの人にお世話になったので、感謝しています。
卒業後、ウィルウィンでの活動を振り返った時に、きっと坂本主務と取材の打ち合わせをしていた時のことを懐かしく思い浮かべる日がくるだろう。ア式へ対する彼の姿勢と意志に刺激を受け、取材活動をする上での確かなエネルギーとなった。主務として使命と責任を果たしてきた彼を突き動かしてきたものは、チームと仲間達への深い愛情と高い誇りなのだと感じる。彼の様々な“Take action”を目の当たりにしたことを嬉しく思うし、関わる機会を持てたことを本当にありがたく思う。そしてもし微力ながらもウィルウィンがその役に立てることがあったのなら、とても光栄で幸せだ。
インタビュー中にも何度も「社長」という愛称で呼ばれていた中澤君。学連として多忙な日々を過ごし、仕事でチームを離れることも多かったからこそ、ア式と仲間へ対する想いは、誰にも負けないくらい強かったに違いない。インカレ決勝戦、仲間達が大歓声の中で優勝と喜びに包まれているとき、坂本主務にして“仕事人”と言わしめたその彼が、学連の任務中に本部で人知れず流した涙は、まさにチームへ懸けてきた想いの証。近年再び存在感を増している大学サッカーを支える磐石として、選手達が最も輝く舞台を運営してきた彼の貢献は極めて大きい。
ア式の試合を見守っていると、いつも目にする光景があった。選手がピッチで苦痛に顔を歪めた次の瞬間にはすでに、氷とトレーナーバッグを携えて、タッチラインぎりぎりで仲間を見詰めている板垣トレーナーの姿である。選手が助けを必要とするその時には、誰よりも早く、すぐに駆けつけられるように。痛みに耐えてもサッカーがしたいと願う選手の気持ちと、それを制止する立場の狭間で胸を痛める心優しい彼が、トレーナーとして接する際に選手へ見せる厳しさこそが、真の思いやりなのだと思う。そんな彼が試合中に必ず見せるもう一つの光景、それはピッチから戻ってきた選手をベンチで迎え入れる温かな労いの姿である。
ア式蹴球部の挑戦を、今までも今もこれからも、背番号のないヒーロー達が支えている。
*学生スタッフ特集は今回が最終回です。今後も学生スタッフの皆さんの活躍を祈念しています。ご覧くださった皆様、どうもありがとうございました。
関連URL
早稲田ア式蹴球部ホームページ
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