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[競走部] 駅伝特集 「襷-TASUKI-」

「自転車で花の2区! 〜時々3区〜」

前のページより)


 

戸塚中継所。来年は高原選手から竹澤選手に襷が引き継がれる。中継所の目印、古谷商事。


 

 

 不動坂交差点を右折して橋を超えると、道の表情が変わった。ここは両側を高いフェンスに囲まれ、景色は良いとは言えず、自分一人と向き合うことを強いるような道だ。しかも、上り坂。これが3km続いて、戸塚中継所へ辿り着く。余裕ぶっていた私も、足に乳酸を感じてきた。権太坂の疲れも、後から効いてくるようだ。一気に登りきってしまいたい。懸命にペダルをこぐと、うっすら汗ばんだ首筋を風が乾かしてくれて、とても良い気持ちだった。

 しかし、なかなか戸塚中継所の目印である古谷商店が見つからない。太ももに痛みを感じながら、この地区が「花の2区」と言われる所以に気づいた。アップダウンが多く、紛れもなく厳しいコース。けれど、自分がこの道を少しでも速く進んで襷を繋げることで、チームメイトを楽にしてあげたい、そして皆で優勝の喜びを分かち合いたいという、花のような美しい心を持つ、真のエースだけが走ることを許されたコースだからなのでしょう。とか思うくらい最後は必死だった。

 カメラマンが登ると思わしき台座の骨組みが、既に準備されているのを発見!その横に、古谷商事!結局3時間近くかかった花の2区の旅が、幕を閉じた。竹澤選手のタイムからは大幅に遅れてのフィニッシュだったが…、来年は自分が感じた見覚えのある道を選手が走るのだと思うと、更に箱根が楽しみになった。

 …実は旅はまだ終わらず、この後3区も走った。左手に相模湾、右手に富士山を臨む「箱根一の景勝」が楽しめるこの区間が、私は大好きだ。しかしマイペースに進みすぎたため、戸塚を過ぎた時点で日没まで1時間をきっていた。焦って全速力で自転車をこぐと、木に激突した。追い討ちをかけるように縁石に勢いよく突っ込み、私の体と自転車は宙に舞った…。スピードが出るのは、3区始めは遊行寺付近まで下り坂が続くからだ。しかし選手の足には知らず知らずのうちにブレーキがかかってしまい、負担がかかる。そして意外とアップダウンが多いコースであることが感じられた。

 

3区前半は下り坂が続く。

 藤沢駅近くを通過すると、心なしか潮の香りが漂い、松の木も見えてきた。心が躍るも、海沿いの134号線に出た時には、無常にも完全に日が落ちていた。風はゴウゴウと音を立てて真っ暗な海から吹き、富士山はシルエットを微かに残すだけだった。

 悲しい気持ちで、海を見ながら聞くはずだった「勝手にシンドバッド」をスタートさせると妙に足が軽くなり、暗い防砂林とサザンビーチを非常に楽しい気分で走れた。音楽の力は偉大である。イヤホンをしながら練習する陸上選手が多いのには納得だ。箱根を走る選手の心の中には、どんな曲が流れているのだろうか。とても気になる。しかし、やはり冬の海は寒い。時折突風も吹くので、3区沿道応援の際は服装にご注意頂きたい。

 湘南大橋を越え、もはや意地だけで平塚まで走破。3区の昼の写真をお届けできず、大変申し訳ないです。是非お正月に皆さんの目で、選手を勇気付ける美しい風景を確認して頂きたい。号砲が鳴る日は、間近に迫っている。


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関連URL
早大競走部公式サイト
関東学生陸上競技連盟

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(TEXT、PHOTO=田辺里奈
 


 
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