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復路総評

 昨日は12年ぶりの往路優勝に歓喜した早稲田。区間賞を獲 得した3区の竹澤や5区の駒野の好走を筆頭に、全員が会心 の走りを見せ、理想通りの展開でレースを進め、最高の流 れで復路を迎える。また、山での大逆転劇のみならず、山 梨学院大・モグスの2区区間記録更新や昨年の王者順天堂大 の無念の棄権など、今年も多くのドラマが生まれた。順位 がめまぐるしく変わる大激戦となった往路。そして復路で は、往路1位の早稲田や総合力で優る駒澤大、エースを残す 東海大らを軸とした総合優勝争い、さらに熾烈なシード権 争いが予想された。

「下りのスペシャリスト」誕生

 

 2年連続で「山下り」の6区に起用されたのは加藤創大(スポ2) 。5区同様、今年の早稲田が自信を持つ区間の一つであり、 さらに貯金を作りたいところである。トップで芦ノ湖を飛 び出した加藤は「走る前は調子の良さは感じなかった。」 というが、前半から積極的な走りで、1分14秒差でスタート を切った駒大・藤井との差をどんどん広げていく。途中険 しい表情を見せるものの、一番苦しい残り3kmの平地でも勢 いは衰えず、目標の59分30秒以内で駆け抜けた加藤は、見 事区間賞を獲得し、2位駒大との差は3分11秒にまで広がっ た。一方、復路での逆転を狙う東海大は、皆倉が後半の粘 りの走りで6位に順位を上げた。


安定した走りをみせた4年生

 

 東海大のスーパーエース佐藤悠基が登場した7区。暖かな日 差しのもと、佐藤は区間記録を上回るペースで上位チーム を猛追する。中央学院大、山梨学院大、そして健闘を見せ る関東学連選抜をかわし3位に浮上すると、結局2位駒大と の差を1分半以上縮め、優勝戦線に名乗りを上げた。一人異 次元の走りを見せた佐藤は、2年前の3区、昨年の1区に続き3 年連続の区間新記録を樹立するという箱根史上3人目の快挙 を成し遂げた。 また、当日のエントリー変更で3年ぶりに箱根路を走ること となった石橋洋三(スポ4)。4年生らしい落ち着いた走りで トップを独走する。終盤ややペースが落ちたものの、区間4 位の好走で襷を繋いだ。

 8区は飯塚淳司(スポ4)。昨年に続き8区を任された飯塚は、1km3 分前後のペースを刻み懸命に逃げるが、背後には駒大・深 津が迫る。平塚中継所で2分14秒あった差がみるみる縮まり 、最終的に15秒差にまで詰められるも、辛うじて1位を死守 し、9区に襷リレー。 また、東海大・芳村が区間18位に沈み5位に後退する一方で 、東洋大や日大らを含むシード権争いも激しさを見せ始め た。

白熱の優勝争い

 

 復路のエース区間である9区。早稲田の三輪真之(人3)は、2.6km で駒大・堺に追いつかれるが、三輪も離れず並走が続く。 レースが動いたのは8.4km地点。権太坂の下りで堺が仕掛け 、三輪を突き放す。粘りを見せたが、結局駒大とは1分22秒 差の2位で最終区間の10区を迎えることとなった。早稲田の 後方では、中央学院大の篠藤がチームを3位に押し上げる区 間新の快走を見せ、10位までのシード権争いも、アンカー 勝負にまでもつれる熾烈な展開を見せる。また、9区残り1.5km で大東文化大が無念の棄権となった。

 最終10区。早稲田のアンカーは神澤陽一(理工2)。秋以降調 子を上げメンバー入りした神澤は、いつも通り苦しい表情 ではあるが、順調な走りで駒大を追う。しかし、10kmを過 ぎると、次第にペースが落ちトップ駒大との差が広がって いく。結局、神澤は2分29秒差の2位で堂々のフィニッシュ 。駒澤大は往路2位、復路1位と、前評判通りの力を発揮し 見事3年ぶり6度目の総合優勝を果たした。方や、ゴール 手前でまさかの出来事が起きた。20.9km地点、シード権争 いを繰り広げる東洋大と日大の目前には、足を痛め立ち止 まる東海大・荒川の姿が。東海大の途中棄権により、両校 ともシード権を獲得する結果となった。

来期へ向けて

 「戦国駅伝」と称された今年の箱根。その名の通り、中央 学院大や山梨学院大など予選会からスタートしたチームの 上位入賞や学連選抜の健闘、優勝候補の東海大を含む史上 初の3校の途中棄権、と波乱が続出し、駅伝の難しさを改め て感じさせられた大会であった。そんな中、力を結集し、10 人全員が最高の走りをして総合2位と見事な成績を残した早 稲田。しかし、部員の心には嬉しさの反面、あと一歩のと ころで優勝を逃した「悔しさ」も強く残ったようである。 来期は、エース竹澤が主将として名実ともにチームを引っ 張っていく立場となる。今回活躍した加藤ら2年生カルテッ トを含め、今年のメンバーが7人も残る。さらに、4月には 強力な新入生も加入する。戦力は確実に整ってきている。 駒野の後継者の育成など課題はあるが、また来年、悲願の 総合優勝に向けチームの更なる成長を期待したい。

2008年第84回東京箱根間往復駅伝競走 復路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

6区

加藤創大
2
スポ科
愛知・愛知
59.15
1
1

7区

石橋 洋三
4
スポ科
福岡・福岡大大濠
1.05.11
4
1
8区
飯塚淳司
4
スポ科
群馬・高崎
1.06.56
5
1
9区
三輪 真之
3
人科
石川・星陵
1.10.15
6
2
10区
神澤 陽一
2
理工
東京・早稲田学院
1.12.09
12
2
復路 計(順位)
 
2

 

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=神崎風子、鈴木啓太(WillWinOB))

 

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