2010年1月2、3日に行われる箱根駅伝の各校区間エントリーが12月29日に発表された。
2年連続で早稲田の1区を務めるのは矢澤曜(教2)。前回の箱根での区間賞を始め、今年度も出雲、全日本大学駅伝でもともに1区を走り、それぞれ区間4、3位でまとめるなど、スターターとしての実績は十分。例年スローペースでの集団走からのラストスパート勝負になる1区だが、今年は矢澤を含め10000m28分台の主力級の選手が多くエントリーされているため、序盤からハイペースな展開になる可能性もある。いずれにせよ、矢澤には2年連続の区間賞や最低でも区間上位での走りでチームに勢いをもたらしてほしい。また、花の2区を走るのは、主将の尾崎貴宏(教4)。今年も日大・ダニエルなど各校のエースがしのぎを削る区間だが、昨年もこの2区で区間7位、今年度の関東インカレハーフマラソンでも日本人トップの2位入賞を果たしている尾崎なら、十分互角以上に渡り合える。10km以降に2つ上り坂が待つコースへの対応も、前回の経験があるため問題はないだろう。
近年重要性が高まり、準エース区間になりつつある3区には西城裕尭(スポ1)がエントリーされているが、出雲、全日本で好走を見せ、渡辺康幸監督からの評価も高い二人のルーキー平賀翔太(基理1)、佐々木寛文(スポ1)のどちらかが当日のエントリー変更で起用される可能性が高い。二人とも1年生ながら安定感のある走りには定評があり、堅実な「つなぎ」の走りが期待できる。大会最短区間である4区に選ばれたのは、同じく1年生の前田悠貴(スポ1)。全日本での経験を生かし、3区までで作った流れをうまく5区へ繋いでもらいたい。そして、大会最長区間で山上りの5区に抜擢されたのは八木勇樹(スポ2)。今季も思うような結果が残せず、上りの適性も未知数な部分がある八木だが、5区の難コースを攻略できるだけの地力は備わっている。また今回も、昨年驚異的な区間新記録で大逆転劇を演じた東洋大・柏原がエントリーされており、昨年のような山での激しい順位変動が予想されるが、八木には冷静な走りで芦ノ湖のゴールを目指してもらいたい。
往路のポイントは、まず1~3区までで良い流れを作り、余裕を持って後半につなぐ事と、5区の八木が区間上位の快走を見せる事の2点だろう。序盤からレースの主導権を握ることと鬼門の山上りでブレーキをしないことは、総合優勝への絶対条件。1区の矢澤、5区の八木の両2年生の出来が、チームの命運を握る。
復路のスタートの6区山下りは、4年連続で加藤創大(スポ4)が務める。故障の影響での調整不足で仕上がりに不安が残る加藤だが、過去3度の経験は大きな武器となる。チームの勢いを加速させるためにも、最低でも区間上位の走りを期待したい。7区には、成長著しい萩原涼(人1)、8区には北爪貴志(スポ3)が選ばれているが、往路で出番のなかった平賀、佐々木のどちらかや、前々回の箱根で2区を走り、今回故障からの復活を期す高原聖典(人4)のエントリー変更での起用も考えられる。復路のエース区間9区には、過去2年連続で箱根を経験している中島賢士(スポ3)が選ばれた。8区での出場となった前回は、優勝した東洋大に逆転を許してしまった中島だが、今回はそのリベンジとなるような快走を期待したい。また8、9区は、例年優勝争いやシード権争いの分岐点となる区間であり、現時点で補欠となっている他校の有力選手たちが当日のエントリー変更で起用される可能性が高い。総合優勝を目指す早稲田にとっても、チームとしての真価が問われる勝負所となりそうだ。そして最終10区は、秋以降調子が上昇傾向にある神澤陽一(理工4)が務める。2年前にも10区を経験し、大崩れせず粘り強い走りが持ち味の神澤にとって、アンカーはまさに適役といえるだろう。
早稲田を含め、今回は往路重視のオーダーを組んでいるチームが多いため、復路は前半からの流れを上手く引き継いでいける我慢強さと粘り強さが要求される。早稲田としては、まずは6区の加藤で波に乗り、優位に立って終盤の勝負所を迎えたい。例年以上に選手層の厚い今年のチームなら、復路に勝負を賭けてくるチームとも十分に戦えるだろう。
今年の早稲田は爆発力のある選手がいないため、一人ひとりが少しでも多く貯金を稼ぎ、堅実に次へ繋いでいく「総合力」を活かした駅伝をする必要がある。他校と比較しても、選手個々の能力は非常に高く、それぞれが箱根独特の重圧をはねのけ、実力通りの走りができれば、目標とする総合優勝は可能であろう。部員全員の力を結集させ、1年間チームが掲げてきた合言葉である「全員駅伝」を体現した先に、17年ぶりの頂点が見えてくる。
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