2011年1月2、3日に行われる箱根駅伝の各校区間エントリーが12月29日に発表された。
今大会早稲田の1区を任されたのは、大迫傑(スポ1)。スピードが魅力の選手だが、11月の上尾ハーフマラソンでは61分47秒のアジアジュニア記録を樹立して優勝するなど長い距離への不安もない。1区には昨年同様油布(駒澤大)、出口(日体大)ら10000m28分台の有力選手が多くエントリーされており、今年も序盤からハイペースな展開が予想される。大迫には周囲の状況に流されることなく、持ち味である序盤から押していく積極的な走りでレースを進めて区間賞、かつ他校との差を大きく広げて襷を繋いでもらいたい。また、花の2区に起用されたのは、平賀翔太(基理2)。今年も外国人留学生2人を含む各校のエースが集結するタフな区間だが、チーム一の安定感を誇る平賀ならしっかりと区間上位の走りが期待できる。冷静なレース運びで2区のポイントである中盤の権太坂とラスト3kmの上り坂を攻略し、チームの勢いを更に加速させてほしい。
今や2区と並んで重要区間に挙げられる3区には、矢澤曜(教3)が登場。1区のイメージが強い矢澤だが、今季は練習から単独走を意識して取り組んだり、11月の国際千葉駅伝でも3区を無難にこなすなど、1区以外での走りも視野に入れて準備をしてきた。全日本では1区・区間9位と苦杯をなめたがその後は復調傾向にあり、チームの主力として「つなぎ」以上の走りで、優勝を争うライバル達との差を広げてくれるだろう。続く大会最短区間の4区に選ばれたのは、全日本で7区・区間2位の好走を見せた前田悠貴(スポ2)。落ち着いた走りで3区までに作った流れをしっかり受け継ぎ、勢いを止めることなく5区へ繋いでもらいたい。そして、山上りの5区に抜擢されたのは、4年目にして初の箱根出場となる猪俣英希(スポ4)。上りの適性は未知数な部分がある猪俣だが、20km以上の距離も苦にしないスタミナと堅実で粘り強い走りには定評がある。今大会も、この5区には過去2年連続で区間記録を更新している『山の神』東洋大・柏原がエントリーされており、後方から一気に追い上げられることが予想されるが、周囲のペースに惑わせることなく冷静な走りで芦ノ湖のゴール目指し、無難な走りで往路をまとめて欲しい。
目標とする総合優勝に向け、往路のポイントは2つ。まず、主力3人をつぎ込んだ1〜3区で一気にレースの主導権を握り、十分な貯金と余裕を持って5区に繋ぐことと、ここ数年鬼門となっている5区でブレーキすることなく、柏原との差を最小限に留めることかがカギになる。往路優勝することがもちろんベストだが、最低でもトップと1分差以内で往路を終えたいところである。
復路のスタートとなる山下りの6区には、今回の早稲田の秘密兵器・高野寛基(スポ4)が選ばれた。高野はこれまで大学駅伝の出場経験はないものの、今シーズンも夏以降地道な走り込みで自慢のスタミナに磨きをかけ、最後の箱根に備えてきた。12月に入っても好調を維持しており、本人も「最低でも区間3位以内が目標」と語るなど気合十分。目標通りの区間上位の走りで、チームに良い流れをもたらしてほしい。7区には、5区起用が有力視されていた佐々木寛文(スポ2)がエントリーされた。11月に発症したという坐骨神経痛の影響が心配されるが、出雲、全日本ではともに区間賞を獲得するなど元々安定した実力を持つ選手であり、出場出来る状態であればきっちりと「つなぎ」の走りを見せてくれるだろう。8区は、前回この区間で区間6位の走りを見せた北爪貴志(スポ4)が務める。長い距離に強く、昨年の経験もある北爪には、前回以上の走りで区間賞を目指してもらいたい。
また、復路のエース区間の9区には市川宗一朗(スポ2)、最終10区には萩原涼(人2)がエントリーされているが、当日のエントリー変更で八木勇樹(スポ3)と三田裕介(スポ3)の両3年生、箱根での経験が豊富な中島賢士(スポ4)あたりの起用が濃厚だ。例年は9区までに優勝争いの趨勢が見えることが多いが、優勝候補同士の力が拮抗している今大会では、勝負がアンカーにまでもつれる可能性もあり得る。追う展開であれ逃げる展開であれ、9、10区を走る選手には、焦ることなくしっかりと勝負どころを見極め、堅実な走りを見せてもらいたい。
往路にしっかり計算できる選手を多く投入した早稲田は、復路では、選手の状態や往路の結果次第で7〜10区まで大幅なエントリー変更が考えられる。優勝争いのライバルとなりそうな東洋大、駒澤大は復路にも力のある選手が控えており、早稲田としても今年のチームの特徴である『総合力』を遺憾なく発揮したいところだ。復路の展開としては、今回渡辺康幸監督が自信を持って送り出す6区の高野で波に乗り、トップまたは先頭と競った状態で終盤の勝負所を迎えたい。
18年ぶりの箱根制覇、そして史上3校目の大学駅伝三冠を目指す今年の早稲田。今季これまで主力として活躍してきた佐々木、志方文典(スポ1)二人の故障は気がかりではあるが、他校と戦力を比較しても、依然として優勝候補であることに変わりはない。故障者の分は、これまで脇役に回ってきた4年生の奮起に期待したいところだ。今年のチームには、多少の誤算をカバーできる選手層の厚さ、そしてこれまでの2冠を通じて強さを増した結束力があり、個々がしっかり自分の走りをすれば自ずと結果はついてくるだろう。出場する10人はもちろん、部員全員が一丸となり、いざ悲願の頂点へ。1月3日の大手町に早稲田の選手達の笑顔が広がることを期待したい。
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