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第87回箱根駅伝 往路総評

  「今度こそは優勝を」との思いで挑んだ2010年箱根駅伝の結果はまさかの7位。「もう二度と同じ失敗を繰り返してはならない」、「伝統ある強いワセダを必ず復活させる」という決意のもとチームが一つにまとまった。中島賢士(スポ4)駅伝主将率いる今年度の早稲田は、強力ルーキーの加入、そして上級生の成長により、昨年度より一回りも二回りも強いチームへ進化を遂げた。出雲・全日本を終え2冠を勝ち取ったのが何より強さの証。そして、史上3校目となる出雲・全日本・箱根の三冠獲得に王手をかけた戦いの時・2011年1月2日午前8時、早稲田を含めた全20チームが箱根路での栄冠を手にするべく一斉に走り出した。

ルーキーが激走、順調な滑り出しの1、2区

 

エース区間花の2区を走った平賀翔太。今回は同じ佐久長聖出身の村澤(東海大)に負けてしまったが、次回リベンジを期待したい。

 5区までに何としてでもライバル・東洋大とのタイム差をつけておきたい早稲田は、1区に大型ルーキー大迫傑(スポ1)を起用。1kmの入りが3分8秒と比較的スローなペースであることに目をつけた大迫は、2km過ぎで早くも集団を飛び出し先頭に躍り出る。大迫は共に集団を抜けた日大・堂本としばらく併走を続けながら後続の3位集団をぐんぐん引き離し、約400mにまでその差を広げると、11km地点ではそれまで併走していた堂本をも置き去りにし、首位を独走。結局、快調なペースと力強い足取りは最後まで衰えることなく、そのままトップで鶴見中継所に飛び込んだ。2位・日大とは54秒差、ライバルの東洋大との差を2分01秒にまで広げ、まさに完璧といえる内容で1区の大役を終えた。

 各校のエースが集う“花の2区”に挑んだのは、2年生ながら抜群の安定感を誇り、今や早稲田のエースといっても過言ではない平賀翔太(基理2)。平賀は、序盤の下り坂を利用して快調なリズムで走り出すと、10km通過は28分40秒とトラック10000mの自己ベストをも上回るペースで首位を独走。後方では、東海大・村澤が20位からの16人抜きで4位に浮上するなど激しい順位変動が起こる中、平賀は15.2km過ぎの権太坂に入ってからも、依然として安定したペースで、淡々と歩を進めていく。終盤、ベンジャミン(日大)の追い上げにより、50秒近くあった2位との差を13秒にまで詰められてしまったものの、強敵揃いの中でも区間4位の走りでまとめ、トップのまま襷リレーを果たした。

堅実に首位を守った3・4区

 

大事なつなぎ区間4区で好走を見せた前田悠貴。
全日本に続き区間2位の結果は、もう早稲田の主力
といって遜色ないだろう。

 近年主力級の選手が集まる往路の重要区間の3区には、早稲田のエース矢澤曜(教3)が登場。箱根では初めて1区以外の区間を任されることとなった矢澤は、序盤から2位との差をぐんぐん広げ、早い段階で独走状態に入る。15km地点までには2位と約2分もの差をつけ、エースとしての力走を披露。しかし終盤の18km辺りから次第にペースが落ちると、最終的には区間6位と矢澤としてはやや不本意な結果に。それでも、首位はがっちりキープし、4区へと襷をつないだ。

 往路最短区間の4区に起用されたのは、11月の全日本大学駅伝でも好走を見せた前田悠貴(スポ2)。東洋大との差が2分36秒の状態で襷を受け取った前田は、序盤から3分を切るペースを刻み、徐々に後続との差を広げていく。終盤になってもスピードが落ちることはなく、柏原が控える東洋大との差を2分54秒にまで広げる走りで、区間2位と大健闘。惜しくも区間新記録には及ばなかったものの、重要な4区で「つなぎ」以上の役目を果たし、5区に襷を託した。

初の箱根にして大健闘の5区

 

最初で最後の箱根路を駆け抜けた猪俣英希。
彼の走りに魅せられ、心を奪われた人も
少なくないのではないだろうか。

 往路最重要かつ最難関区間である5区山登りに挑んだのは、11月の全日本で初の大学駅伝出場を果たした猪俣英希(スポ4)。襷を受け取った時点で、東洋大との差は2分54秒。東洋大・柏原相手では決してセーフティーリードではない秒差だが、猪俣は序盤から自分の走りに徹し、トップをキープしながら過酷な山を登っていく。その後15km過ぎまでは柏原の猛追をなんとか逃れてきたが、ついに16km地点で追いつかれてしまうと、そのまま一気に先行を許してしまう。しかし、そこからが下級生とは一味違う最上級生の走り。ずるずる引き離されることなく、持ち味である粘りのある走りで食い下がると、逆にラスト5kmの下りでは柏原を猛追。惜しくも柏原に追いつくことはできなかったが、最終的にはわずか27秒差の2位で芦ノ湖のゴールに飛び込んだ。

復路に向けて

 1、2、3区と主力をつぎ込んだ早稲田にとって、往路の戦いはイメージした通りのものだったのではないだろうか。4区終了時点で東洋大から3分以上のアドバンテージを作ることはできなかったが、4年生の猪俣の意地の走りで、1分は見込んだ東洋大からのビハインドを27秒に抑えることができた。しかし、前を追える位置であると同時に、後続との差も1分半と僅差であることも事実である。復路では、八木勇樹(スポ3)、三田裕介(スポ3)、中島賢士(スポ4)などの主力をまだ残している早稲田。優勝のためには、早々に首位に立ち、そのまま首位をキープしていくレース展開が望まれる。エンジのWが笑顔で大手町に戻ってくること、そして、渡辺康幸監督の悲願の胴上げが見られることを期待したい。


2011年第87回東京箱根間往復駅伝競走 往路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

大迫 傑
1
スポ科
東京・佐久長聖
1.02.22
1
1

2区

平賀翔太
2
基理工
長野・佐久長聖
1.07.50
4
1
3区
矢澤 曜
3
教育
神奈川・多摩
1.03.45
6
1
4区
前田悠貴
2
スポ科
鹿児島・小林
55.06
2
1
5区
猪俣英希
4
スポ科
福島・会津
1.21.14
9
2
5.30.17※2
 
2

※当日のエントリー変更:なし
※2 往路新記録

 

(TEXT=染谷知里、PHOTO=矢野真由実、平尾実夏、酒井杏奈、鈴木崇広)

 

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