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第88回箱根駅伝 往路総評

  18年振りの総合優勝という華々しい結果で終わった2011年の箱根駅伝。昨年度の勢いをそのままに、二年連続の大学駅伝三冠という目標に向けて今年度のチームが発進した。しかし結果は出雲・全日本共に3位と惨敗。その結果を受け、「無冠では終わらせない。」と熱い闘志を燃やす指揮官・渡辺康幸駅伝監督の下、2年連続の箱根路制覇に向けてチームはひとつにまとまった。そして、今シーズン最後の戦いの時・2012年1月2日午前8時。全20チームの想いがぶつかり合う勝負の2日間の幕開けを告げる号砲が、大手町に鳴り響いた。

エースが快走、順調な滑り出し(1、2区)

 

2年連続でエース区間花の2区を任された平賀翔太選手(基理3)。後半失速したものの安定した走りを見せてくれた。

 早稲田の1区は2年連続で大迫傑(スポ2)が任された。序盤は集団のままレースが進むが、5km過ぎで大迫が日体大・服部と共に集団から一歩リードすると、10km地点では3位集団との差を100mほどにまで広げ、エースに期待される通りのレースを展開する。更に、12km過ぎにはそれまで並走していた日体大・服部をも置き去りにし首位独走。その後も3位グループとの差を40秒近くにまで広げ快調な走りを見せる大迫は、終盤ややペースを落としたもののそのままトップで鶴見中継所に飛び込んだ。最終的に、後続には約25秒差にまで迫られたが、1区歴代5位のタイムとなる1時間2分3秒で区間賞に輝き、1区での役目を果たした。

 昨年に続いて、エースが集う花の2区に挑んだのは平賀翔太(基理3)。今シーズンの不調が嘘のように序盤から軽快な走りを見せる平賀は、8km付近では駒澤大・東洋大ら2位集団との差を50秒にまで広げ首位を独走する。中盤も区間上位のペースでリードを広げるが、権太坂の頂上を過ぎた17km付近では脇腹を押さえる仕草と苦しい表情を見せると、徐々にペースが落とし始める。19km過ぎには後方から猛追してきた東洋大・設楽(啓)にかわされ遂に2位後退。しかしその後はなんとか持ちこたえ、トップ東洋大とのタイム差を12秒にとどめた2位で襷リレー。後半のアクシデントにより悔しさが残る走りとなったが、区間5位というまずまずの結果でレースを終えた。

リード奪えず、逆に奪われた中盤(3・4区)

 近年主力級の選手が集まる往路の重要区間の3区には、2年連続で矢澤曜(教4)が登場。前を行く東洋大が見える位置で襷を受け取った矢澤は、じわじわとその距離を詰め、5km過ぎで遂に東洋大に追いつく。その後しばらく東洋大との並走を続け首位争いを展開するが、浜須賀交差点(11.9km)を過ぎてから徐々に東洋大のペースに遅れ始めると、13.1kmの茅ヶ崎では13秒、20km過ぎでは42秒と差を広げられ苦しい走りに。最終的に平塚中継所では、先頭東洋大に1分3秒もの差をつけられ襷リレー。ライバル・東洋大に差を広げられ不本意なレースとなったが、2位はしっかりキープし最後の箱根を終えた。

 往路最短区間の4区には、当初エントリーされていた三田裕介(スポ4)に代わり大串顕史(スポ4)が登場した。大串は2年前の箱根でもこの4区を任され、区間11位という結果に終わった。2年前チームに迷惑をかけてしまったことへのリベンジに燃える大串は、序盤から区間上位の好ペースでレースを進める。しかし、前を行く東洋大・田口はそのペースを上回る快調な走りで、徐々に大串との差を広げていく。5区を前に少しでも東洋大との差を縮めることが期待されたが、小田原中継所では1分54秒の差をつけられ2位のままレースを終えた。前を追いきれなかったが、区間5位にまとめ2年前のリベンジを果たした。

ルーキーが好走も、ライバルに歯が立たず(5区)

 

初の箱根で山登りに抜擢された山本修平(スポ1)。 東洋柏原に離されはしたが19分台の区間3位は大健闘だろう。

 往路最重要かつ最難関区間である5区山登りに挑んだのは、ルーキー山本修平(スポ1)。襷を受け取った時点で、首位東洋大とのタイム差は約2分。3分のビハインドをも返すことができる東洋大・柏原に対し1秒もリードがない苦しい状況である。しかし、山本は自分のペースで冷静にレースを展開。途中9km付近では3位明治大に追いつかれるが、粘りの走りで20秒ほどのリードを作り2位を守りきる。終盤の芦ノ湯(18.3km地点)付近でも再度明治大に追いつかれ2位の座を奪われるが、粘りと根性の走りで抜き返し、そのまま2位で芦ノ湖のゴールに飛び込んだ。トップの東洋大には5分7秒もの大差をつけられたが、1時間20分を切る1時間19分52秒という好タイムの区間3位で、初の箱根での大役を全うした。

復路に向けて

 往路に主力をつぎ込み逃げ切りを図った早稲田だが、往路優勝を果たした東洋大に隙はなく、最終的に5分7秒もの大差をつけられる結果に終わった。目標である総合優勝への道は厳しくなったと言わざるを得ない状況だが、復路には佐々木寛文(スポ3)、前田悠貴(スポ3)、志方文典(スポ2)などの主力が残っており、まだ十分に優勝争いができるチャンスはありそうだ。復路では、現在の順位である2位を死守することを最低限の目標として、一人ひとりが最大限の力を発揮することにより、2年連続となる悲願の総合優勝を目指して欲しい。そして笑顔とともに『エンジのW』が大手町に戻ってくることを期待したい。


2012年第88回東京箱根間往復駅伝競走 往路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

大迫 傑
2
スポ科
東京・佐久長聖
1.02.03
1
1

2区

平賀翔太
3
基理工
長野・佐久長聖
1.08.47
5
2
3区
矢澤 曜
4
教育
神奈川・多摩
1.03.34
6
2
4区
大串顕史
4
スポ科
茨城・水戸第一
55.36
5
2
5区
山本修平
1
スポ科
愛知・時習館

1.19.52

3
2
5.29.52
 
2

※当日のエントリー変更:4区三田(スポ4)⇒大串(スポ4)

 

(TEXT=染谷知里、PHOTO=鈴木崇広、矢野真由実)

 

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