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2012/11/18[競走部]

チームの底上げ見せるも、個々で課題あり
第25回上尾シティハーフマラソンレポート


 

 好条件ではない中で、自己ベストに近い記録を出した前田。

 11月18日、第25回上尾シティハーフマラソンが行われた。
箱根駅伝の前哨戦と位置づけられるこの大会に、早稲田からは11名が出場。 「前半から積極的な走りを」という渡辺康幸駅伝監督(平8年人卒)の指示通り、序盤から先頭集団で駒を進め、ポイントとなる15キロ以降も勝負できた前田悠貴(スポ4)が3位入賞、志方文典(スポ3)も63分台を出すなど、主力が奮闘した。好調も感じられる一方で、箱根に向けては各々で課題も見つかったようだ。


 昨年に続き、今年もチームトップの成績をあげた前田。「最低限の走りはできた」と振り返る。1位・2位の選手のラストスパートに対応することができなかったレース展開には「少し悔しさも残った」と語るが、記録は62分台に迫る63分07秒。全日本大学駅伝の疲労が残る中でこの結果を出せたことは、しっかりと力がついている証拠だろう。今レースを「箱根への自信にしていきたい」と大学駅伝最終章へ向けて弾みをつけた。

 全日本大学駅伝前に捻挫した志方は、未だ調子は万全でない。その中でも「どこまで3分ペースで前について行けるかを課題に」(志方)して臨んだ今レース。課題としていたペース配分は8キロ付近で一旦崩れてしまい、先頭から離される。それでもその後立て直し、63分台の上位でゴールした。結果だけを見れば、久しぶりのハーフでまずまずの成果を出したと言えるが、終わり良ければ全て良し、という訳ではない。「タイム的には良くても、内容はだめだった」と冷静さを失うことはなかった。



 

 「これから先、大迫や志方と少しでも張り合えるような存在になりたい」と田中。

 今回、渡辺監督が合格点を与えるタイムは64分30秒以内。それをクリアしたのが田中鴻佑(法3)と田口大貴(スポ2)だった。
 めきめきと力をつけている田中は自己ベストを1分以上更新。それでも目標としていた63分台に数秒届かず、「夏の練習の詰めが甘かった」と厳しく評価した。ただ、田中は全日本大学駅伝に調子を合わせていたため今レースは十分な調整を行えなかった中での出場。その意味では「まだもう少しあげられると思う」と自己への期待も忘れてはいない。チームを引っ張る立場となった3年生だが、今までは大迫傑(スポ3)と志方の二枚看板だった。そこに田中が出てくることは、チームにとっても良い影響を与えることを意味する。出雲・全日本とメンバーに選出されながら出走が叶わなかった悔しさを箱根で晴らせるか、期待がかかる。

 田口は「本当に最低限だけど自分の力を少しはちゃんと出せたかな」と希望の光を見せた。大学駅伝デビュー戦となった出雲駅伝以降、調子が上がらずに全日本大学駅伝では出走機会が与えられなかった田口。「調子は少しずつ上がってきている」ことを示すかのように、それまでの自己ベストを一気に2分縮め、64分台を記録した。しかし田口にとってこの記録はあくまでも「最低限」。今レースで見つけたスタミナへの課題を克服すれば、主力の仲間入りへ大きく前進できるだろう。


 1年生にとっては初ハーフマラソンとなった今大会。彼らにとってこのレースは20キロという距離への適性を占う上で重要な指針となる。その中で柳利幸(教1)が64分台と健闘した。だが、「63分台、それもできれば前半」を狙っていた柳にとっては満足できる結果ではない。全日本大学駅伝での出走を経て、一回りも二回りも成長を遂げた柳。「箱根では上位で先輩方に襷を繋げるように頑張っていきたい」と、更なるパワーアップを誓った。  

 風が強く吹き、決して良い条件下ではなかった今年の上尾ハーフマラソン。それにも関わらず、自己ベストを出した選手は多く、全体の底上げが図られているように感じる。だが俯瞰すると、優勝を村山(駒大)に、上位多数を東洋大にさらわれた形となってしまい、「東洋さんに圧倒された」と渡辺監督。来る箱根駅伝でも、東洋大・駒大と依然手ごわい2校が君臨するが、監督は「2番狙いや3番狙いでやっている訳ではない。優勝を目指して1年間やってきた」と断言する。区間配置の采配も勝敗を色濃くする要素だが、何より大事なのはチームのまとまり。佐々木寛文駅伝主将(スポ4)を中心にどこまで勝利に近づけるチームを作り上げられるか。
箱根まで残された期間は1か月半―。来年1月3日、大手町でエンジが輝くために、1日たりとも気を抜くことは許されない。

※監督・選手によるコメントは下記URLよりご覧いただけます。
☆監督・選手コメント@ 渡辺康幸駅伝監督、前田悠貴
☆監督・選手コメントA 志方文典、田中鴻佑
☆監督・選手コメントB 田口大貴、柳利幸

関連URL
早稲田大学競走部公式サイト

(TEXT=矢野真由実 PHOTO=矢野真由実、関谷公子 )
 


 
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