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第91回箱根駅伝 往路総評

 2014年度、大学駅伝は波乱の幕開けとなった。台風の影響で出雲駅伝が史上初の中止。学生三大駅伝は全日本大学駅伝と箱根駅伝のふたつのみとなった。駒澤大、東洋大、明治大、青学大、そして早稲田の5強の争いと目された今年度だが、全日本大学駅伝は駒澤大の圧勝。早稲田は7位とシード権を逃す厳しい結果となった。それから2ヶ月、選手たちは「箱根こそは」の思いのもとに団結し挑んできた。2015年1月2日、退任が決まっている渡辺駅伝監督との最後の箱根駅伝へ、エンジを背負う選手たちの戦いが始まった。

 

集団の中でレースを進める中村

 風もなく穏やかな天候となった1月2日の大手町。午前8時、第91回東京箱根間往復駅伝競走の号砲が鳴った。レースの流れを作るために重要となる1区には、前年ほどではないにしろ、各校エース級の選手が顔を揃えた。早稲田の1区を任されたのは中村信一郎(スポ3)。「良い流れを作れるよう積極的なレースをしたい」と1 区に意欲を見せていた中村信が調子の良さを買われての起用となった。レースは序盤ひとつの大きな集団をつくって進んだが、その中で田口雅也(東洋大4)や横手健(明大3)などがゆさぶりをかける。15km過ぎに久保田和真(青学大3)が出ると、 対応できたのは田口、横手、中村匠吾(駒大4)の3人。この4人の先頭集団とやや離れて縦長の第2集団ができると、中村信はその中で粘る。最終的に激しいスパート合戦となった1区を制したのは駒澤大の中村匠。早稲田はトップと42秒差の11位での襷渡しとなった。

 昨年は1区にエースが集う傾向にあったが、今年は花の2区と呼ぶにふさわしいメンバーが集結。順位争いも激しくなった。早稲田の2区は前回大会で区間賞を獲得した高田康暉(スポ3)。高田は序盤から軽快な走りで15秒前にスタートした5位中央学院大まで一気に追いつき、6人の5位集団を形成、前を追った。高田は何度もスパートをかけて抜け出しを試み、20km過ぎに単独5位へ浮上。昨年とまったく同じタイムで区間6位、チームを5位まで押し上げた。
先頭で繰り広げられていた駒澤大と東洋大による先頭争いはラスト3kmで決着。服部勇馬(東洋大3)が村山謙太(駒大4)を逆転し、引き離した。服部勇は後方からゴボウ抜きを見せていた村山紘太(城西大4)を11秒上回り区間賞を獲得。

 準エース区間とも呼べる3区には井戸浩貴(商2)が登場。終始ひとり旅となった中、落ち着いて5位をキープした。井戸は区間8位の走りだったが、前を行く駒澤大、明治大、青学大、東洋大はいずれも早稲田を上回るペースで、平塚中継所ではトップと2分18秒差まで開いてしまった。ただこの差はまだ想定内で、3区まではほぼ設定どおりのタイム。4区と5区の実績ある2人で巻き返せる算段だった。

  4区には昨年ルーキーながら4区の早稲田記録を更新した平和真(スポ2)を投入。優勝を狙うプランとして、5区に渡るまでに先頭と1分以内の差で繋ぎたいとしていた早稲田。平で差を詰めたいところであったが、トップを走る工藤有生(駒大1)とそれを追う田村和希(青学大1)が区間新記録を更新する快走。逆に差を広げられ、小田原中継所ではトップから4分10秒差で往路のアンカーへとつないだ。平は56分31秒で区間9位と悔しい結果に終わった。

 

最後の箱根に挑んだ山本主将

 5区は主将・山本修平(スポ4)が雪の残る天下の剣に挑んだ。1、2年時に区間3位と好走しており、今回は区間賞候補の筆頭とみられていた山本。しかし2週間前に脚を痛め不安も抱えてのスタートとなった。前をいく東洋大とは約2分40秒の差。ひとつでも前を追うべく駆けだした山本だが、ペースは一向に上がらない。小涌園を通過したのち、追い上げてきた中央学院にかわされ6位に後退した。
逆に前方では神野大地(青学大3)が驚異的なペースで首位駒澤大に迫っていた。大平台を過ぎたところで青学大が逆転し、その差をみるみるうちに広げた。往路優勝はそのまま青学大。今年から5区のコース変更がなされたため単純な比較はできないが、神野は従来の区間記録を破る1時間16分15秒のタイムで区間賞を獲得した。2位に明治大、3位には東洋大が入り、駒澤大はラスト低体温症のようになりふらつきながらもなんとか4位でゴールした。5位には中央学院大、最後粘った早稲田が6位に入った。トップと9分4秒差の5時間33分02秒、山本は1時間21分45秒で区間10位だった。

 まずは往路優勝を目指した早稲田だったが、結果は厳しいものとなった。しかし復路にも主力級の選手を残しており、挽回の余地は十分にあると言える。まずは6区から良いリズムを作り、いま早稲田ができる最高の駅伝を見せて欲しい。


2015年第91回東京箱根間往復駅伝競走 往路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

中村信一郎
3
スポ科
香川・高松工芸
1.02.42
11
11

2区

高田康暉
3
スポ科
鹿児島・鹿児島実業
1.08.17
6
5
3区
井戸浩貴
2
兵庫・龍野
1.03.47
8
5
4区
平和真
2
スポ科
愛知・豊川工業
56.31
9
5
5区
山本修平
4
スポ科
愛知・時習館

1.21.45

10
6
5.33.02
 
6

※当日のエントリー変更:4区藤原(スポ科1)⇒平

 
(TEXT=福島瑠都、PHOTO=猪野史夏、川口恵)

 

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