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【5】質問タイムその3「企業とスポーツ」

【4】質問タイムその2「所沢の総合スポーツクラブ(2)」

【3】質問タイムその1「所沢の総合スポーツクラブ(1)」

【2】2時間目 「日本のプロスポーツ」

【1】1時間目 「スポーツ経営学概論」

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早稲田の所沢が初めて。通称ワセダクラブ2000

――将来的には早稲田の学生じゃなくても、そのクラブで育てられた優秀な選手も出てくるかもしれませんね。

教授:マラソンの有森さんだって市民レベルの強化から出てきたしね。そういう選手が出てきたら、箱根とかにも出場できるように、今の仕組みを変えていかなきゃいけないと思っている。また、OBが一緒のクラブでやっていてもいいじゃない。今でも例えばラグビーだったら早稲田OBみたいなチームあるよね。こういうのがちゃんと定期的にね、継続したクラブとして一緒にやっていけたら、早稲田の学生のレベルももっと上がるんじゃないかと思うね。今ラグビー社会人と学生ものすごく差が開いちゃったでしょ。普段からそういうレベルでもまれていたら、違ってくると思うんだよね。

――ものすごく期待のもてる試みですね。

教授:これまでの大学施設の開放っていうのはイベント型で、「地域の行事で何かやるから貸してくれ」とか、あとは短期スポーツ教室とか公開講座とか。こういうものはせいぜい5回、10回くらい。だから継続的に地元の人が足を運んで、自分たちの施設、地元の施設だと思うような利用の仕方っていうのはなかった。早稲田の所沢が初めてですよ。そこに国も注目して補助金をくれているし。正式名称は『所沢市西地区総合型地域スポスポーツクラブ』で、通称が『ワセダクラブ2000』。これからは大学の施設を使って、イベントとか試合とかもできればいいんだけど。ただ、去年その所沢クラブで、『第1回所沢市陸上競技選手権大会』っていうのをやったの。これはあそこの競技場だったら、うまくいけば見る人も増えてくるだろうね。そういうのをクラブの収益にして、クラブ運営とか強化費とかに使えたらいいよね。

――そういう部分が大学にとっても、利益になるんですか。

教授:だって大学が自分たちで施設も含めて全部やろうと思ったら、スポーツっていうのは一番お金がかかるでしょ、場所取るでしょ。まして日本みたいなところだったら、固定資産税から何から莫大な金額がかかるんですよ。だからそういう意味でも、こういう試みが必要なの。例えばテニスクラブの場合だったら今300人くらい会員がいるんだけど、テニスコートの使用料25週くらいで約100万円会員から集めて払ってもらう。それにテニスコートだけじゃないからね。陸上競技場もあるし、アスレチックジムもあるし。そうしたら今は学生から施設料みたいなのを取るだろ、そういうのを安くすればいいんだよ。地域の人が支えるようになったら。コストを学生だけに負わせる時代じゃない。そうすれば学生にも喜ばれるし。地域の人に喜んでもらって、学生にも喜んでもらえたら最高じゃない。10年後とかに会員数1万人とかになって、人科の学生の授業料が半分くらいになったらいいね。


大学には教育としてのスポーツや体育を望む教授

――僕らも嬉しいです(笑)。*

教授:大学スポーツで一つ言い忘れたけど、僕は基本的には学校のスポーツは、教育としてのスポーツなんだから、その範囲でとどめるべきだと思うよ。それは小学生、中学生、高校生を含めて。大学になったら少しはエンターテイメント性を要求してもいいと思うけど。教育としてっていうんだったら、全国大会とかやる必要あるのか。だからいろいろ過度になっていくんだよ。学校教育ではありえないようなことに。

――なるほど。

教授:よく批判されている体育会系の精神主義だとか、過度の練習だとか、勝利至上主義が生まれるのは、日本の6・3・3・4制の短いスパンの中で、勝たなきゃいけないっていうのがあるから。上下関係とかもそう。つまり、短期間で効率を上げるには軍隊式が一番いいからね。悠長に自主性が生まれるまでとかやっていたら、その前に受験勉強をしなければならなくなっちゃう。入ってきたらばんばん叩いて鍛え上げてやらないと、2年半の間では勝てないでしょ。だから中学や高校なんていうのは、その中でどんどんスポーツをやる人が減っているんだよ。僕は基本的には、学校はスポーツの教育的意味を伝えればいいだけで、それを越えるようなことはやるべきではないと思っている。それを越えるようなところは民間や地域のクラブがやればいいと思う。学校ではどういうことをやればいいかというと、それはちゃんと教育としてのスポーツをやるべきであって。例えば身体の教育とかね。運動の教育なんて絶対に必要でしょ。自分の体と運動の関係とか、他にはスポーツの歴史とかさ。保健体育の授業なんて、ほとんどお茶濁しでしょ。美術とか音楽とかが、美術史とか音楽史をやるように、教育としてのスポーツや体育をやらなきゃいけないと思う。

 

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