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2003/1/11 [ラグビー蹴球部]

13年ぶりの大学王者奪回。大学選手権決勝で関東学院に27-22で雪辱し、大学日本一の座に着く。

 2003年1月11日。今シーズンの大学ラグビーを締めくくる天王山、第39回全国大学ラグビー選手権大会決勝の日がついに訪れた。

 
 
 
 
 
 
 
早稲田
27
22-10
22
関東学院
5-12

第39回全国大学選手権大会決勝
1月11日(土)
国立霞ヶ丘競技場
得点者(早大)山下・仲山・大田尾・高森


 この試合のポイントは、関東学院の強力FW陣に対し体格で劣る早稲田がどう攻めていくか、ということ。この日、昨年11月の対抗戦(vs帝京大)で故障したPR伊藤(人2)が戦列復帰。完治しないままでの登場のため、再びケガしかねない伊藤に課せられたのは「スクラムを押す」ただそれだけ。スクラム以外のプレーを強要しない清宮監督の思い切った起用だった。これが功を奏し、立ち上がり関東学院相手にスクラムで互角に渡り合う。このFW陣の頑張りにBK陣もプレーで応える。先制したのは早稲田。前半8分、早稲田は関東学院陣内に深く攻め込み、ゴール前密集から司令塔SO大田尾(人3)、そしてボールは主将CTB山下(人4)へ。山下はディフェンス陣3、4人に囲まれながらも体をうまく使いこれを交わし左隅に執念のトライ。プレースキッカーは準決勝(vs法政大)に引き続きSH田原(人4)。このような大一番ではキックのミスも大きな致命傷となってくる。およそ2年ぶりにキッカーを務める田原 これで波に乗った早稲田は15分にWTB仲山(人4)の50m独走トライ、さらに22分には大田尾が右隅に立て続けにトライを決めこれで19-0。早稲田の圧勝劇、国立にはそんな雰囲気すら生まれ始める。だが、そこは王者関東学院。このままでは引き下がらない。受けに回り始めた早稲田を尻目に自慢のFWを建て直し、持ち味であるスクラムを起点とした連続攻撃を次第に展開し、29分、35分の連続トライで反撃ののろしを上げ前半を22-10で終える。

 フィットネスに優れる早稲田は後半に強いと言われる。相手が疲れを見せ始める後半早稲田はそこをつき一気にたたみかけるというわけだ。後半に強い早稲田は対抗戦の早慶早明戦、また先日の選手権準決勝など大一番でも存分に発揮され、相手の反撃の芽を絶ってきた。この決勝でも後半に強い早稲田を。国立に詰め掛けた早稲田ファン、そしてテレビの前で戦況を見守る全国のファンが一心になって祈る。だが、後半は完全に関東学院にペースを握られる。常に早稲田陣内でのプレーが続くが、関東学院もスクラムでのミスや肝心なところでのハンドリングエラーが響き、なかなかインゴールを割ることができない。そんな中、早稲田は13分にLO高森(教4)が相手のミスを見逃さずパントチャージに成功。こぼれたボールを自ら奪いそのままトライし27-10。勢いは早稲田に傾くか。しかし、主導権はあくまで関東学院に。スクラムで押しに押し、35分、そしてロスタイムに日本代表PR山村の連続トライで27-22と5点差に。あとワントライで同点の大ピンチ。関東学院が攻める。早稲田は必死に耐える。軍配はどちらに。ここでホイッスルが高らかに鳴らされノーサイド。早稲田ベンチから大勢の選手がスタッフがフィールド内に飛び込む。歓喜の瞬間。早稲田が大目標としてきた関東学院を決勝の舞台で倒したのだ。

 “Ultimate Crush”を目標に掲げた今シーズン。早稲田はこの日この舞台で関東学院を倒すことだけを考え1年間戦ってきた。決勝では“Ultimate Crush”とまではいかなかったものの、最大にして最強の敵であった関東学院を見事撃破した。昨年の決勝では5点差で関東学院の前に涙をのんだが、1年後、同じ舞台同じ相手に5点差をつけ勝利したのは何かの因縁だろうか。国立競技場に13年ぶりに部歌「荒ぶる」がこだまする。13年前、国立のピッチには清宮克幸主将率いる早稲田フィフティーンが凱歌を挙げた。13年前の主将は監督となり母校へ戻り、再び日本一を戴冠した。これもまた因縁めいたものを感じずにはいられない。

 そして試合が終わってから少し経った18時過ぎ、今度は場所を大隈講堂前に移して「優勝記念イベント(主催:早稲田大学/後援:アディダス・ジャパン)」が行われた。この日を待ち焦がれていた現役生、OB/OG、地域の人などが数千人押しかけ会場は大満員。そして、ラグビー蹴球部の部員が到着し用意されていた壇上に上がるとボルテージは最高潮。試合終了から少し時間が経ち優勝の喜びを改めて実感し満面の笑みを浮かべている表情が印象的だった。白井総長、アディダス・ジャパンのペズ社長、清宮監督の大学の同級生である小宮山投手からの祝辞、サッカーの岡田横浜Fマリノス監督などからのビデオ祝辞の後、清宮監督、山下キャプテンなどがメッセージを述べ、その後もう一度「荒ぶる」を熱唱、最後は応援部を交えて校歌を大合唱してイベントは散会した。

 この時、山下キャプテンが次のような言葉を述べた。「先輩たちが一年たりとも優勝という目標を捨てずに努力してきたからここまでこれた」と。この言葉は作ったのではない、偽りのない本心だろう。そしてこの言葉こそが早稲田大学ラグビー蹴球部の精神そのものだろう。

 「おめでとう!ラグビー蹴球部」。大学選手権優勝という目標は達成した。次は来月9日から日本選手権が始まる。今度は社会人が相手となる。更なる高みへ山下組の戦いはまだ終わらない。そこでは早稲田のラグビーをぜひ社会人にぶつけてほしい。

 さあ、次なる舞台は日本選手権だ。

 

特集
ラグビー蹴球部特集「黄金期への序章〜The Prologue to the Golden age〜」

関連URL
早大ラグビー蹴球部公式サイト
関東ラグビーフットボール協会
日本ラグビーフットボール協会

 

(TEXT=長友亮太・山田浩平、PHOTO=田村拓実・山田浩平)
 


 
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