PHOTO=坂井裕之
松本兼助
(まつもと・けんすけ)
第二文学部4年。1976年(昭51)7月19日生まれのO型。175センチ、90キロ。ポジションはプロップ。ラグビー歴は約13年。戸頭中−県柏高−早大
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#3
松本の夢
「実はライターとかやってみたかったんだよね」。初耳だった。「浪人時代から、『ラグマガ(ラグビーマガジン)』とか『Number』とか読んでて、藤島さん(大=現早大ラグビー蹴球部コーチ、スポーツライター)とかすごくたくさん読んでた。あとは親戚で新聞記者からライターになった人とかいて」。いつも取材する側として選手に話を聞いていた私には、選手でいられることがうらやましかった。しかし「早スポ(ソウスポ=早稲田スポーツ新聞会)とか、すごく楽しそうだったもん」、と言われ、自分たちも多少のあこがれを持って見られているのだ、と初めて実感した。お互いうらやむ関係でいられることを、すごくうれしく感じた。選手に負けじとやってきたかいがあったというものだ。
ところで今、松本は「夢か。なんだろうね」と、自身の夢を語る。ライターのことも、チャンスの少なさなどから捨ててしまいかけているようだった。
「読む人が本当に欲しい情報を、分かり易いように」。これは松本が対戦校を分析した資料を、仲間に渡す際に気を付けていることだそうだ。私はドキッとした。編集に携わる人間に一番必要だと考えていることだったからだ。「まだまだなんだけどね。ときどき評論家みたいになってる自分も嫌だし(笑)」。そんなことはない。松本には誠実さもある。ライターになるチャンス、素質はまだまだあるように感じた。編集の世界に身を投じてきた私と話すことで、そんなチャンスの存在だけでも気付いてくれれば、と感じた。
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