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【7】2001年の目標

【6】新入生へのメッセージ

【5】オリンピックと自分の距離感

【4】五輪への周囲と自分の温度差

3】二人にとってのオリンピック&今だから言えるシドニー

【2】アスリートとしての「自分」

【1】早稲田大学という選択

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――新入生に向けて、スポーツをやってきて感じたことや、メッセージをお願いします。

稲田 最後は自分の中で諦めないことですよね。どうしても一人では耐えられないんです。私はすごく友達の言葉に助けられました。水泳やってる子はやってる子で同じ苦しみを経験しているし、やっていない子はやっていない子で、違う立場からの言葉で助けられました。今までやってきて、シドニーのときに「皆さんのおかげです」という言葉の意味がすごくよく分かったんですね。それまでは「みんなのおかげ」と言っても、それでも自分の力だろうというところはあったんです。でもオリンピックのときなんかは本当に自分一人ではだめで。本当に心から「皆さんのおかげです」と、そういう方々に感謝するということが分かりましたね。一人ではあの場にはいられなかったですね。

村主 やっぱり新入生だけでなくて、4年生とかでも就職活動とか大変な方がいらっしゃると思いますけど。私は、本当に自分で一生懸命になれる、自分をアピールできるスケートというものに、簡単に巡り合えたということが良かったと思います。結構今の大学生についての話を聞いていると、一生懸命になれるものというのがなくて苦しんでいる人が多いと聞きます。私は人それぞれだと思うんですね、巡ってくる時というのは。自分が一生懸命に日々やっていれば、人生の中で必ずそういうのが巡ってくる時期があると思うんです。本当に自分が納得できる生き方を自分がしていたら、そういうものが必ず巡ってくると思うし、また巡ってきたときにちゃんと準備ができていると思うんです。私が本当に今思うのは、成績とかそういうものもある程度は欲しいものはあるけれど、家族の支えがあって、両親の支えがあって、友達がいて、コーチがいて、そういういい環境でスケートができて。そういう中にいられるということがすごく幸せだと思う。やっぱりそういうのに、みんながみんな巡り合えるわけじゃないですし。それこそ本当に食べるものにさえ困っている人が世界にたくさんいるんです。そういう中で、自分は裕福に、明日のことも気にせず生きているというのは幸せだと思うから。そういう中で「自分が一生懸命やっている姿で、たくさんの人に幸せを与えられたらいいな」って、思うんですね。で、フィギュアはそれができる競技です。自分のためでもあるけれど、それだけではいけないと思う。「結局は自分のために頑張れ」ってみんな言うけど、やっぱり周りで支えてくれてる人にとっては、私がいくら演技しても結果とか賞を、その人たちが得ることはできませんよね。私は頑張れば表彰台にも乗れるし、ご褒美もくる。ほかの人たちは見返りがなかなかない。でも私が一生懸命やるから、みんなも一生懸命やってくれるのであって。私が自分の滑りをするのが、一番の恩返しだと思うんです、ベストを尽くすことが。どんな人も最後まで諦めないでやってほしいし、稲田さんがおっしゃったように、感謝する心っていうのも大事だと思う。それだけ謙虚な心がないと人間自分ひとりで生きているわけじゃないから。

――そういう意味では、早稲田という大学は競技の面以外でも、たくさんの人と出会えますし。いい大学なんじゃないかな、と思うんです。

稲田 いろんな人がやっぱり早稲田にはいると思うので、すごくおもしろいですね。私も来て、すごく良かったなって思います。いい友達に巡り合えたなというのもありますし。ほんと来てよかったな、と思います。

村主 私は今まで女子高で、小学校からいっしょの人たちばかりだったんです。大学に入ってからは、みんなもう大人だから、そうすぐに友達というわけにはいかなくて。そういう面では難しいなって思ったし。私の専攻では男の子が多いんです。大学からのつき合いですから、難しいなとは思ってましたね。稲田さんの専修は結構授業とか大変でしたか?

稲田 授業は難しいと言えば難しいかな。そういう意味でも友達に大変お世話になりましたし(笑)。うちのコーチは「学校も行ってちゃんとしろ」ってのがあって、学校が主というのがあったんで、学校の時間にあわせて練習とかも決めていたので、学校も結構来てました。

村主 私も気分転換が上手じゃないから、学校に行って勉強で頭の中を変えて、スケートから勉強に切り替えて気分転換してます。

――やっていてよかった、幸せだと思う瞬間ってありますか?

稲田 一回オリンピック目指していて、だめで、それでもう一回挑戦して、シドニーの選考会で2位に入った時は、あー、よかったって。泳いでいる時でも、いつもと違う、体が乗っている、それでゴールしてみるとタイムもすごい、その時は気持ちよかったって。

村主 試合の時はどんなこと考えているんですか?

稲田 やっぱり、何にも考えていない時が一番調子いいですね。あっという間に終わっちゃう。

村主 すごいなー。調子が乗らない時とかあるんですか?

稲田 ありますねー。早く終わってくれ、としかその時は考えられないですね。

村主 なるほど。私は表彰台の一番上に乗れる演技ができた時、つまり、自分の納得する演技ができた時ですね。あと、やっぱり海外に行くと、日本人って真面目だなと思うのが、観客の人も一緒になって緊張しちゃっているんですよね。「おねがいー」みたいな(笑)。悲愴感ただよっちゃって。アメリカとかカナダとか行くとみんなその緊張がうれしくて「うわー」って盛り上がりがあるんですね。メジャーなのですごい人数の観客を動員するんですね。何千人の人に注目されて、見られるってそんなチャンスってないじゃないですか、その時は「幸せだなー」って思いますね。

――早稲田では、スポーツにストイックな人、結果を残している人と、違う分野でのストイックな人が同じ机で勉強できるわけですよね。

村主 一生懸命頑張っていることにかわりはないから、スポーツで頑張っている人も、一つのことに一生懸命になっているだけで、どれも同じだと私は思う。それは全日本のレベルでも、世界選手権を目指すレベルでも、学校で受験頑張っている人のレベルでも、一生懸命頑張っていることにかわりはないから。

 

 

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